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2011(平成23)年11月1日以降も給費制が存続するよう強く求める会長声明
会長声明・決議・意見書(2010年度)
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2011(平成23)年11月1日以降も給費制が存続するよう強く求める会長声明
2011年02月14日更新
2010(平成22)年11月26日、司法修習生に対する修習費用の貸与制の施行を一年延期する「裁判所法の一部を改正する法律」が国会で可決成立した。この改正は、本年10月31日までの間、修習費用を国が貸与する制度を停止し、暫定的に司法修習生に対し給与を支給する制度とするものである。そして、この改正については、衆議院法務委員会附帯決議において、政府及び最高裁判所に対する配慮事項として、「(本年10月31日)までに、個々の司法修習終了者の経済的な状況等を勘案した措置の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずること」(第1項)、「法曹の養成に関する制度の在り方全体について速やかに検討を加え、その結果に基づいて順次必要な措置を講ずること」(第2項)が求められている。
司法修習生に対する修習費用の貸与制の施行が延期されたことは、市民、国会議員及び司法関係者など多くの方々から、昨年6月11日に会長声明を発するなどしてこれまで当会が重ねて訴えてきた給費制(司法修習生に対し給与を支給する制度)の意義について深いご理解をいただき、多大なるご尽力をいただいた賜であり、心から感謝申し上げる次第である。
しかしながら、給費制の延長は暫定的なものにすぎず、未だ抜本的な解決に至っていない。
給費制は、市民・社会にとって極めて重要な意義を持つ。すなわち、そもそも、法曹は、市民の「社会生活上の医師」としての社会的な機能を期待され、法の支配を全国あまねく実現するため、公益的任務を遂行することが求められている。民間人である弁護士も、「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」という弁護士法に定められる使命に基づき、市民の生活と権利を守ることが強く求められているところである。高い職業意識及び倫理観と法律実務に関する知識を備えた質の高い法曹を養成することは、公共的な社会基盤を整備することにほかならず、それに必要な費用は、受益の枠をはるかに超え、公益的・公共的な使命を負った法曹の働きにより市民・社会に貢献・還元されていくべきものである。
また、今まで、数多くの弁護士が、人権擁護のための諸活動に精力的に取り組んできた。これら弁護士の活動の大半は、弁護士の公益的・公共的な使命感に支えられたものである。給費制を通じて、弁護士各々の中に市民から付託された公益的・公共的な使命を果たす責任感が育まれるのである。
このように、給費制の存在意義が法曹養成の公益性・公共性に求められるものである以上、司法試験の年間合格者数如何にかかわらず、必要な予算措置を講じて給費制を存続させるべきである。
もとより、当会は、政府及び最高裁判所に対し上記附帯決議に基づく事項を速やかに検討するよう求めるところであるが、その検討如何にかかわらず、給費制が本年11月1日以降の将来にわたって存続することを強く求める。
2011(平成23)年2月14日
横浜弁護士会
会長 水 地 啓 子
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