2008年07月14日更新
消費者行政推進会議の本年6月13日付最終答申を受け、政府は、同月27日、消費者行政推進基本計画~消費者・生活者の視点に立つ行政への転換~を閣議決定し、消費者の視点で政策全般を監視し、消費者を主役とする政府の舵取り役として、消費者行政を一元的に推進するための強力な権限を持った新組織(仮称「消費者庁」)を創設し、必要な法整備を行い、平成21年度から発足させることとした。 そして、政府は、消費者が頼れる分かりやすい一元的な相談窓口を整備し、また、国、地方一体となった消費者行政の強化のために「新組織の創設と併せて、地方分権を基本としつつ、地方の消費者行政の抜本的な強化を図ることが必要である。」と地方の消費者行政の強化を要請した。すなわち、「地域ごとの消費者行政は、自治事務であり、地方自治体自らが消費者行政部門に予算、人員の重点配分をする努力が不可欠である。」として地方自治体に努力を求める一方で、「消費生活センターを一元的な消費者相談窓口と位置づけ、緊急時の対応や広域的な問題への対処等のために全国ネットワークを構築することは、国の要請に基づくものであり、法律にも位置付けを行うことを踏まえ、国は相当の財源確保に努める。」として、国も相応の負担をする予定であることを明記している。 横浜弁護士会は、消費者行政の発展に資するこの閣議決定を高く評価するものであり、政府に対して、この閣議決定の確実なる実行とさらなる進化を要望するとともに、各地方自治体、とりわけ閣議決定でも中核センターと位置づけられる都道府県等(神奈川県、横浜市、川崎市)の消費生活センターの充実と、「地方自治そのものである」、「国民目線の消費者行政の強化充実」を要望するものである。 ところが一方、神奈川県においては平成8年度消費者行政予算は2億6003万円であったものが、それ以降減少を続け、平成19年度には5199万円まで激減し、従前県が行っていた直接の相談業務の多くを廃止して各市町村に移管するなど、全国第2位の人口を擁する大県であるにもかかわらず、全国で最も大幅な行政予算及び人員の削減を行っている。その結果、神奈川県内の市町村によっては人員・予算の関係で週1回しか相談窓口を設けられず、そのため消費者が適切な相談を受けられないなど、地方消費者行政の大幅な後退が生じている現実があり、この抜本的改善が強く要請される。 このような中でたとえ、政府において「消費者庁」が設立されたとしても、各地方自治体において消費者行政のための財源を確保しつつ、人的・組織的体制を十分に確保するなど、地方消費者行政の抜本的改革がなされないと、せっかくの政府の方針が画餅に帰してしまうことは明らかである。 そこで、横浜弁護士会としては、神奈川県、神奈川県下の政令指定都市及び各市町村に対して、以下の点を求めるものである。
当会は、今後も、消費者被害防止と救済のために実効性のある消費者庁の実現、及び地方消費者行政の抜本的充実に向けて、組織のあり方について提言を行うなど、全力で取り組む所存である。
2008年7月10日 横浜弁護士会 会長 武井 共夫
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