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会長声明・決議・意見書(2008年度)

取調べの全過程の録画・録音(可視化)に関する刑事訴訟法改正案についての会長談話

2008年06月04日更新

取調べの全過程の録画・録音(可視化)に関する
刑事訴訟法改正案についての会長談話

2008年(平成20年)6月4日、参議院本会議において、取調べの全過程の録画・録音(可視化)を主な内容とする刑事訴訟法改正案が可決された。

本法案は、被疑者の取調べへの弁護人の立ち会いを認め、検察官及び警察官による被疑者取調べの全過程の録画・録音を制度化し、これを欠くときは被告人調書の証拠能力を否定するとともに、公判前整理手続における検察官保管証拠標目の一覧表の開示を義務付けるものであり、高く評価できるものである。本法案が、国権の最高機関である国会の参議院本会議において可決されたことは、日本弁護士連合会および当会をはじめ、全国単位弁護士会がこれまで一貫して主張してきた取調べの全過程の録画・録音(可視化)の実現に向けて、重要な一歩であり、画期的な意義を持つものとして歓迎したい。
 
もとより、冤罪事件を根絶するためには、取調べの録画・録音(可視化)に止まらず、いわゆる人質司法の打破、代用監獄の廃止等、取り組むべき課題は多い。しかし、取調べの全過程の録画・録音(可視化)は、密室での取調べの弊害を取り除き、昨年明らかとなった鹿児島・志布志事件や富山・氷見事件に代表される冤罪事件の抑止に資するものである。また、取調べ状況をめぐる不毛な証拠調べや議論をなくすものであり、裁判の長期化を防ぎ、分かりやすい裁判を実現することに資する。その意味で、本法案の成立は、実施が1年後に迫った裁判員制度をより円滑に実施するためにも、極めて重要である。
 
横浜弁護士会は、本年5月20日の通常総会において、取調べの録画・録音(可視化)を求める決議をあげており、その実現のためあらゆる努力を講じる決意である。当会としては、本法案が衆議院においても速やかに審議・可決され、改正法が成立することを切に望むものである。
 

2008年(平成20年)6月4日
横浜弁護士会
会長 武井 共夫

 
 
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