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米海軍水兵の殺人容疑逮捕に関する緊急会長談話
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米海軍水兵の殺人容疑逮捕に関する緊急会長談話
2008年04月07日更新
本日、神奈川県警察本部は、米軍横須賀基地所属の巡洋艦カウペンス乗組員上等水兵を、米軍から身柄の引渡しを受けて逮捕するに至った。去る3月19日横須賀市汐入町において、タクシー運転手を殺害した等の容疑によるものであり、被疑者は、3月初旬から脱走兵として米軍に追われ、上記事件後の同月22日に米軍に身柄を拘束されていたものと伝えられている。
近時、在日米軍人による事件、しかも凶悪な事件が連続して発生している。2006年1月に横須賀市内の路上で空母キティーホーク乗組員が女性を撲殺して金銭を強奪した強盗殺人事件の衝撃はいまだ記憶に新しいところであるし、2007年7月にも米軍水兵が横須賀市内での少女らに対する殺人未遂容疑で逮捕されている。そして本年2月10日には、沖縄の海兵隊員による女子中学生強姦被疑事件が発生し、大きな社会問題、外交問題となったばかりである。いま、2005年10月以降の米軍再編過程にあって、沖縄はもちろん、佐世保でも、岩国でも、そして神奈川県その他の地域でも、米軍基地周辺の住民の安全と生活が脅かされる事態が生じていることは極めて遺憾である。
当会は、捜査当局に対し、今回の事件の徹底した解明を求めるとともに、日米両政府に対し、このような事件がこれ以上繰り返されることのないよう、抜本的な再発防止措置を講ずることを強く求めるものである。
また、1995年9月沖縄の海兵隊員ら3人による小学女児暴行事件以来、米軍人等による事件・事故に対して、刑事上も民事上も国民の権利が十分に確保されていない日米地位協定の不平等性、不合理性等が、繰り返し問題にされ、改正論議がなされてきた。
たとえば、公務外の犯罪行為についてわが国に第一次的刑事裁判権がありながら、被疑者の身柄が米軍の手中にあるときは公訴提起まで拘禁は米軍が引き続き行うとの規定(17条5項c)が、基地内にいる米兵に対する日本の捜査活動を妨げ、事件解明の大きな障害となってきた。1995年の日米の運用改善合意により、米軍は重大犯罪については起訴前の身柄引渡しに「好意的配慮を払う」とされ、今回の身柄引渡しも、この運用によるものであるが、それはあくまで米側の限られた「配慮」によるものでしかない。
当会においても、1995年12月14日、会長声明で同協定の改正の必要性を指摘し、その後も同協定の問題点の研究を継続してきた。
当会は、沖縄県に次ぐ基地県に所在する弁護士会として、いまこそ、基地周辺住民の生活と権利を確保するため、長年の懸案である日米地位協定の抜本的再検討と改定が実行に移されるべきだと考える。同時に、わが国の米軍基地に関する政策が、地域住民の意思を尊重し、その生活と権利を侵害することのないように行われるべきこと、そしてその観点にもう一度立ち帰って米軍基地の基本的なあり方が再検討されるべきことを強く訴えるものである。
2008年4月3日
横浜弁護士会
会長 武井 共夫
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