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会長声明・決議・意見書(2006年度)

教育基本法「改正」法案の強行採決に抗議する会長談話

2006年12月21日更新

与党は、12月15日、参議院本会議で、教育基本法「改正」法案を強行採決した。

教育基本法が、教育の基本原理を定めた基本法であり、憲法の理念や基本原理と密接な関わりを持つ性質を有することからすれば、「改正」審議は、国民の間で十分議論を尽くした上で、慎重にされなければならない。

しかも、本法案は、教育基本法の考え方を根本から覆すものである。本法案は、教育が「国民全体に対し直接に責任を負って行われるべき」であるとの規定を削除して、「法律の定めるところにより行われるべき」と規定しているが、これは、戦前に教育が思想統制の道具として用いられた事実に対する反省に基づいて、教育の内容がその時々の政治的意思に左右されることがあってはならない、とした教育基本法の考えと真っ向から対立するものである。本法案には、他にも、多々の問題点が指摘されている。

しかし、本法案は、「与党教育基本法改正に関する協議会」が本年4月13日に公表した「教育基本法に盛り込むべき項目と内容について(最終報告)」と同一の内容であり、この最終報告が公表されてからわずか2週間後である同月28日に国会に提出されたものであって、到底、国民の議論を反映して作成されたものとは言えない。

当会は、本年5月12日の会長声明により本法案の問題点を指摘して反対し、11月20日の会長談話により、本法案の問題点が何も解消されていないにもかかわらず衆議院において野党不在のまま強行採決されたことに対する抗議を行った。

日本弁護士連合会も、すでに4度にわたって、反対ないし慎重審議を求める意見を発表している。のみならず、全国の52単位弁護士会のうち、当会も含めて実に50にも上る弁護士会が、反対ないし慎重審議を求める意見を発表してきている。

このような経緯を踏まえ、本年10月にNHKが実施した世論調査では、「今国会で成立させるべき」との回答はわずか13パーセントに止まり、「改正」に賛成とする人のうちでも66パーセントが「今の国会にこだわらずに時間をかけて議論すべき」と答えた。本年11月28日付日本経済新聞の世論調査では、「今国会での成立が必要」との回答は19パーセントに止まり、55パーセントが「今国会成立にこだわるべきではない」とした。これら世論調査の結果は、「改正」にあたっては、反対、ないし、なおよく議論する必要がある、とする考えが多数であることを表している。

しかし、与党は、十分な審議をすることなく、採決を強行した。このような民主主義に反する強行採決に対し、当会は厳重に抗議する。

 
 
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