2006年06月19日更新
平成15年8月にいわゆるヤミ金対策を契機として貸金業規制法及び出資法が改正され、貸金制度の在り方や上限金利について3年後の見直しを定め、現在、金融庁の「貸金業制度に関する懇談会」において具体的な検討がなされるとともに、自由民主党においても金融調査会「貸金業制度等に関する小委員会」において検討作業が始まっている。 数次にわたる出資法の上限金利の引き下げにもかかわらず、一向に多重債務間題は解消されないばかりか、平成16年までの過去5年間の自己破産申立件数は、毎年20万件を超え、ホームレス間題、生活破綻、離職、自殺者の急増等の大きな社会問題に発展している。実際に、国民健康保険料及び税金等の滞納の増加、生活保護世帯の増加により、地方自治体の財政にも影響を及ぼしている。 このような多重債務問題の大きな原因として挙げられるのは、貸金業者による高金利貸付けである。 最高裁判所は、平成16年2月に「みなし弁済規定」は利息制限法の例外規定であり厳格に解釈すべきものとする判決を示し、さらに平成18年1月には、期限の利益喪失約款付きの利息制限法利率超過の弁済は「任意に支払った」とは言えないと判断し、事実上利息制限法を超える高金利を認めない立場を明確にした。 内閣の一員である大臣の1人は、テレビで利息制限法を超える利率を公然と広告するCM は不快であるとも述べ、利息制限法を超える高金利貸付の現状は多くの市民においても是正の必要を感じている。ところが、アメリカ政府は、日本に対する年次改革要望書において金利規制の撤廃や金利の引き上げを要請していると伝えられているし、金融庁が行っている上記懇談会において貸金業協会や外資系貸金業者は、金利の引き上げを主張するなどしている。 近時のアイフルの業務停止問題が象徴するように、貸金業者は、利息制限法を超える金利、すなわちグレーゾーンと称される高金利により多くの収益を得るため激しい取立て行為を行っている一方で、多くの生活困窮者、生活破綻者が日々生まれている。 既に当会は、平成17年2月23日付けで「みなし弁済規定の撤廃及び制限利率の引き下げを求める会長声明」を出しており、現行の利息制限法所定の制限利率自体の引き下げも求めている。消費者契約法の遅延損害金も年14・6パーセントに制限されていることと比較すれば、現行の利息制限法所定の制限利率自体高い水準にある。
以 上
このページの先頭へ