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米軍基地問題に関する会長談話
2006年05月01日更新
本日政府は、在日米軍基地の再編問題について、米政府との「最終合意」を行おうとしている。
この問題は、沖縄県の普天間飛行場の辺野古崎への移転など、我が国に存在する多数の米軍基地の大規模な再編を内容とするが、第二の基地県と呼ばれる神奈川県にとっても、キャンプ座間への米陸軍統合作戦司令部の新設、相模総合補給廠や厚木基地の機能の見直しなど、格別に大きな問題となっている。しかも並行して、横須賀基地を母港とする米空母を2008年に原子力空母とすることも合意されるに至っている。
このような米軍や基地に関連して看過しがたい重要な問題は、地域住民及び地元自治体に及ぼす影響と、その意思を尊重すべき手続の問題である。
米軍基地の存在と管理運営は、環境汚染、騒音公害、犯罪被害、さらには原子力事故の危険など、周辺地域住民の生活と人権に深刻な影響を及ぼすものである。しかも最近、米軍公用車による児童へのひき逃げ事故、米兵による婦人への強盗殺人事件など、県内の基地所属の米兵による事件・事故が頻発し、その身柄の確保や処分のあり方等が大きな社会問題にもなっている。
そして、このような地域住民の生活と健康その他福祉の増進や地域環境の保全などに第一次的責任を負う立場にある関係地方自治体は、かねてより政府に対し、基地の規模・機能の変更等についてはあらかじめ情報を提供して協議すべきことを、繰り返し要請してきていたところであった。
ところが今回の米軍基地再編問題及び原子力空母配備問題においては、そのような手続抜きに、昨年10月末の日米政府間合意が先行的になされ、住民・自治体にその受諾を迫るという方法が基本的にとられてきた。そのために、神奈川県下を含む関係住民・自治体に大きな混乱が生じ、いまなお住民・自治体の反対や不安は少なくない。またこの間の過程で、日米地位協定における基地の設置・管理運営や刑事・民事手続に関する条項等の問題点が、改めて浮かび上がっている。
当会はこれまでも、米軍基地に関連する人権侵害その他の諸問題を継続的に調査研究し、日米地位協定についてもその全面的な再検討と見直しを提言してきたところであるが、そのような弁護士会として、現在なされようとしている日米政府の「最終合意」は、いまだ十分に地域住民及び地方自治体の意思と利益を尊重し、必要な手続を尽くしたものとはいえず、このままでは将来に大きな禍根を残すことを危惧せざるをえない。
よって当会は、政府に対し、今般の「最終合意」の上記問題点を指摘するとともに、今後さらに、日米地位協定の抜本的再検討を含め、米軍基地の設置・管理・変更等について地域住民及び地方自治体の意思と利益を最大限尊重すること、及びそのための制度的改善方策を策定実施することを、強く求めるものである。
2006(平成18)年5月1日
横浜弁護士会
会長 木村 良二
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