ページの先頭です。
本文へジャンプする。
サイト内共通メニューここまで。

会長声明・決議・意見書(2005年度)

共謀罪の制定に反対する会長声明

2006年01月12日更新

第156回国会に「犯罪の国際化及び組織化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」に盛り込まれて提案された共謀罪は,衆議院の解散により廃案となった。

さらに,一度廃案となった共謀罪は,第159回国会に「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」として再提出され,昨年8月の衆議院解散により再び廃案となった。

総選挙後に召集された第163回特別国会に同じ法案が再上程され,衆議院法務委員会において審議が行われたが,与党議員からも法案の問題点が指摘され,特別国会では成立には至らなかった。

それにもかかわらず,今年1月に召集される第164回通常国会では成立が図られようとしている。

共謀罪は,「団体の活動として,当該行為を実行するための組織により行われるものの遂行を共謀」した者は,死刑又は無期若しくは長期10年を越える懲役若しくは禁錮の刑が定められている罪については5年以下の懲役又は禁錮,長期4年以上10年以下の懲役又は禁錮の刑が定められている罪については2年以下の懲役又は禁錮に処するとするものである。

法案では,犯罪の実行の着手に至らない「共謀」それ自体を処罰の対象とする。「共謀(合意)」することで犯罪が成立することになり処罰することになれば,まさに「意思」を処罰するものであって,「行為」を処罰するわが国の刑法の基本原則に反するものであり,その構成要件も不明瞭であって罪刑法定主義にも反すると言わざるを得ない。

また,法案は単に「団体の活動として」としか規定していないのであるから,政治団体,市民団体、労働団体等の活動にも共謀罪が適用される可能性がある。

そして,政府が国会に提出した共謀罪は,すべての純粋な国内犯罪にも適用可能な一般的規定として提案されている。
さらに政府は,審議の中で対象犯罪が615になることを明らかにした。

これだけ多くの犯罪が,実行行為がなくしかも構成要件が不明確なまま共謀罪として処罰されることは,あまりにも問題が多いと言わなければならない。

横浜弁護士会は,提案されている共謀罪については,刑法の基本原則に反し,人権保障機能にも反するものであるので,共謀罪を制定することには反対である。


2006(平成18)年1月12日

横浜弁護士会
会長 庄司 道弘

 
 
本文ここまで。