2005年10月06日更新
9月16日、大阪拘置所において死刑確定者1名に対し死刑が執行された。 日弁連は、2002年に「死刑制度問題に関する提言」を発表し、死刑制度に関する改善を行うまでの一定期間、死刑の執行を停止する旨の時限立法の制定を提唱した。そして、2004年10月に開催した第47回人権大会において、「死刑執行停止法の制定、死刑制度に関する情報の公開及び死刑問題調査会の設置を求める決議」をし、死刑の執行停止を求めた。 当会も、これまで死刑の執行があったとき、再三、法務大臣に対し、死刑の執行を停止するよう要請してきた。そして、来年2月には横浜において、「死刑執行と被害者感情」をテーマとした公聴会を開催する予定である。 死刑については、1989年12月の国連総会で死刑廃止条約が採択され、国連人権委員会は1997年4月以降、毎年、日本などの死刑存置国に対し、死刑廃止に向けて死刑の執行を停止することなどを求めている。また、欧州評議会は、2001年6月、日本とアメリカに対し、死刑執行の停止と死刑廃止に必要な段階的措置をとることを決議したが、わが国がその要求に応じないため、欧州評議会での日本のオブザーバー資格が問題となっている。韓国では1998年以降、死刑執行が停止されており、本年2月には死刑廃止法案が国会に提出され、審議が進んでいる。 このように、国際社会が死刑廃止に向かう潮流のなかで、わが国が、極端な密行主義のもとで、死刑に関する情報をほとんど明らかにしないまま、死刑の執行を繰り返していることは誠に遺憾である。 当会は、法務大臣に対し、今後、国民的議論が尽くされるまでの間、死刑の執行を差し控えることと、議論の前提として、死刑制度に関する情報の開示を強く求めるものである。
2005(平成17)年10月6日 横浜弁護士会 会長 庄司 道弘
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