2004年12月09日更新
本年10月25日長崎地方裁判所島原支部構内において、長崎県弁護士会の会員が、受任している損害賠償請求事件の相手方から、弁論終了後自動車運転席に乗り込んだ際に、運転席窓ガラスをスパナで損傷されるという事件が発生した。 近時弁護士に対する業務妨害事件が全国的に続発している。
昨年4月には新潟県において離婚事件の関係者が弁護士事務所に灯油をまいて火をつけようとし、弁護士や事務職員を監禁し傷害を負わせた事件が、同年10月には石川県において法律事務所の玄関脇ガラス等の損壊事件が発生している。本年に至っても4月には山梨県において「火事があり人が死んでいる」との虚偽通報により消防車や救急車が法律事務所のあるビルに多数到着し一帯が騒然となる業務妨害事件が発生し、本年9月には千葉県で離婚事件の相手方である夫から刃物で傷害を負わせられた事件が、そして今回の長崎県の事件が発生した。これらは氷山の一角である。
これら暴力等による弁護士に対する業務妨害事件は、自力救済を禁じ、法による社会秩序の形成を実現すべき法治社会に反する行動であり、断じて許されるものではない。
このような妨害行為が放置されるならば、弁護士の業務は著しく制限され、ひいては国民の権利実現に重大な障害を及ぼすものである。
一見すると個々の弁護士に対する業務妨害であっても、基本的人権擁護と社会正義の実現を使命とし、司法の一翼を等しく担うすべての弁護士に対する挑戦であり、司法制度に対する挑戦であると考えるべきである。
1989年11月4日坂本弁護士一家殺害事件によって坂本堤会員を失った当会においては、暴力等違法な手段によって自らの目的を達しようとする者を見過ごすことはできず、今回の長崎県の事件の犯行を行った者を強く非難するとともに、このような業務妨害事件の再発防止の為関係機関において厳正かつ適切な処理をとられることを強く求めるものである。
また当会は今後も弁護士に対する業務妨害に対しては一歩も引くことなく毅然と対処する覚悟であることを改めて宣明するものである。
2004年12月9日 横浜弁護士会 会長 高橋 理一郎
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