2004年10月13日更新
1989年12月15日国連総会で死刑廃止条約が採択され(1991年発効),1997年4月以降毎年国連人権委員会は「死刑廃止に関する決議」を行い,その決議の中で日本などの死刑存置国に対して「死刑に直面する者に対する権利保障を遵守するとともに,死刑の完全な廃止を視野に入れ,死刑執行の停止を考慮するよう求める」旨の呼びかけをしている。日本政府は,国際人権(自由権)規約委員会に対して,日本では死刑廃止について国民的コンセンサスがないと報告しているが,これに対し同委員会は,1993年11月と1998年11月の二度にわたって,日本政府に対して死刑廃止へ向けての措置を取ること及び死刑確定者の処遇を改善することについて勧告を出している。
更に,欧州評議会は,2001年6月26日,アメリカと日本に対して死刑執行の一時停止を行い,早急に死刑制度を廃止するように促す旨の決議を採択した。加えて,2002年6月13日には,欧州議会において,日本,韓国,台湾における死刑廃止に関する決議が採択され,早急に死刑を廃止するか,もしくは死刑の執行停止を実現することが要請されている。
日弁連は,2002年11月「死刑制度問題に関する提言」を発表し,死刑制度の存廃につき国民的議論を尽くし,また死刑制度に関する改善を行うまでの一定期間,死刑確定者に対する死刑の執行を停止する時限立法(死刑執行停止法)の制定を提唱した。そして,今月8日宮崎で開催された第47回人権擁護大会において「死刑執行停止法の制定,死刑制度に関する情報の公開及び死刑問題調査会の設置を求める決議」をあげている。
当会は,日弁連とともに政府に対し,死刑制度の存廃につき国民的議論を尽くす間 死刑の執行を差し控えること,及び死刑確定者の処遇改善に努めることを強く求めるものである。
2004年(平成16年)10月13日 横浜弁護士会 会長 高橋 理一郎
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