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会長声明・決議・意見書(2004年度)

「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」 の成立に対する会長声明

2004年07月09日更新

本年5月21日、「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律」が成立し、5年以内に裁判員制度に基づく刑事裁判が開始されることとなった。横浜弁護士会は、かねてより市民が裁判手続に参加する制度の実現を求め続けてきたものであり、それが一部とはいえ実現することとなった本法律は、画期的なものである。これまで我が国では刑事裁判では裁判官だけが判断してきたが、この中に市民が参加し、市民感覚が吹き込まれることによって、より的確で充実した刑事裁判になることが大いに期待される。

ただ、裁判員制度は全く新しい制度であるが故に、実施までの5年間に克服すべき課題は少なくない。また、裁判員制度の目的を達成するためには、法曹三者と市民のたゆまぬ努力が必要不可欠である。市民が裁判員としての活動を容易に行いうるようにするための環境整備をはじめとして、連日開廷に耐えうる基盤整備や、被告人・被疑者の防御権を後退させないための保障、捜査段階の取調状況の可視化、完全な証拠開示、身柄拘束制度の見直しなど、法制度上の課題も数多く残されている。更に、この5年間の間に市民が裁判員制度を理解するための司法教育活動の充実も不可欠である。弁護士をはじめとする法曹三者は、新しい訴訟の進め方を求められることとなるのであり、自己研鑽を積み重ねる必要がある。

横浜弁護士会では、2002年度から、裁判員制度を実験する裁判劇を市民の参加の下で開催してきた。また、司法教育活動にも積極的に取り組んできたほか、神奈川司法計画を発表するなどして、より良い司法の実現に力を注いできた。 裁判員制度の実施が確定した今、横浜弁護士会としては、あらためて、市民と地域に開かれた裁判の実現のために、残された課題の克服に全力を尽くす所存である。また、裁判所や検察庁、そして市民の皆さんなどとも協力しながら、裁判員制度が日本の社会に定着できるよう、今後一層の努力を行う決意である。
 


平成16(2004)年7月9日
横浜弁護士会
会長 高橋 理一郎

 
 
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