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会長声明・決議・意見書(2003年度)

死刑確定者の死刑執行に関する会長談話

2003年09月22日更新

横浜弁護士会は、死刑制度の存廃について国民的な議論が尽くされるまで死刑の執行を差し控えるよう、再三にわたって法務省に対し要請してきたが、2003年9月12日、大阪拘置所で死刑確定者1名に対して死刑が執行された。

死刑については、死刑廃止条約が1989年12月15日の国連総会で採択されて91年に発効しているほか、国連人権委員会は1997年4月以降毎年、「死刑廃止に関する決議」を行い、その決議の中で日本などの死刑存置国に対して「死刑に直面する者に対する権利保障を遵守するとともに、死刑の完全な廃止を視野に入れ、死刑執行の停止を考慮するよう求める」旨の呼びかけをしている。

さらに、国際人権(自由権)規約委員会は、1993年11月と1998年11月の二度にわたって、日本政府に対して死刑廃止へ向けての措置を取ること及び死刑確定者の処遇を改善することについて勧告を出している。

現在、欧州では、ほとんどの国が死刑を廃止している。死刑を38州で存置している米国においても、死刑制度を見直す動きが出てきている。また、アジアでも、韓国は、1998年以来、死刑の執行は停止されており、現在、死刑廃止法案が国会で審議中である。さらに,台湾においても、2002年5月、法務大臣が2004年までに死刑を廃止する計画を発表し、死刑を廃止する条項が盛り込まれた人権基本法案の検討が開始されている。

このような死刑廃止の国際的潮流のなか、日本弁護士連合会は、2002年11月、「死刑制度問題に関する提言」を発表し、死刑制度の存廃につき国民的議論を尽くし、また死刑制度に関する改善を行うまでの一定期間、死刑確定者に対する死刑の執行を停止する旨の時限立法(死刑執行停止法)の制定を提唱した。

しかるに、今回、再び死刑が執行されたことは誠に遺憾である。横浜弁護士会は、政府に対し、今後は死刑の執行を差し控えるよう、改めて強く求めるものである。 

 

2003年9月22日
横浜弁護士会
会長 箕山 洋二

 
 
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