2003年05月26日更新
横浜弁護士会 会長 箕山 洋二
近時、出資法の上限金利である年29.2%を大きくこえ、「トサン(10日で3割)」「トゴ(10日で5割)」などという超高金利で違法な貸付を行なう、いわゆる「ヤミ金融」が激増しており、自殺や家族離散など深刻な人権侵害を引き起こしている。そこで現在、各政党において「ヤミ金融対策法」の立法化に向けての動きがにわかに現実的になってきている。 実効性のある立法をするためには、違法な貸付に対する取締りや罰則を強化することのほかに、「ヤミ金融」が膨大な利益を取得する状態を変えることが必要不可欠であり、かつ、「ヤミ金融」から請求を受ける者がこれに対し毅然と立ち向かい、自らと家族の平穏な生活を守りつつ経済的再起をはかりうる法の仕組が必要である。 本来、「ヤミ金融」の貸付は、利息制限法や出資法に違反する超高金利を取り立てる目的の貸付であるから民法708条の不法原因給付に当たり、返済する必要のない貸付である。 立法化に当たってはこの点を明確にすることが極めて重要である。 そこで、当会は、いわゆる「ヤミ金融」の規制のための「ヤミ金融対策法」を早急に制定することを求めるとともに、その対策法が実効あるものになるためには、すくなくとも出資法5条2項違反(29.2%超)の契約は無効とする、出資法5条1項違反(109.5%超)の契約については、貸付者は元本を含む一切の請求権がない、という点を条文上明言することが必要不可欠であると提言する。
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