2003年05月28日更新
平成15年(2003年)4月28日 横浜弁護士会会長 箕山 洋二
去る4月25日、衆議院個人情報保護特別委員会において、いわゆる個人情報保護関連5法案(個人情報の保護に関する法律案、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案、同関連法律整備法案、独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律案、及び情報公開・個人情報保護審査会設置法案)が可決しました。 5法案の中心となっている個人情報の保護に関する法律案及び行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案について、当会は昨年5月23日の緊急会長談話において反対を表明しましたが、昨年の法案に修正を加えて提出された今般の法案も、何ら問題を解消するものではなく、下記の理由により反対を表明せざるを得ません。 個人情報の保護に関する法律案については、民間部門を広く一律に規制の対象とし、しかも規制方法として主務大臣に助言、勧告、命令の権限を与え、命令違反に対し両罰規定を伴う罰則をもって臨むなどしており、弁護士や弁護士会も含む民間部門が広く監督官庁の監視下に置かれる危険があり、この点は今般の修正案によっても何ら変わっていません。修正案では、報道について適用を除外し、基本原則規定も除くことで報道・取材の自由に配慮したとしていますが、報道等特定の分野を除外すればよいものではなく、形ばかりの修正に過ぎません。 行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律案については、今般の修正で公務員に対する罰則規定を設けていますが、もともと個人情報の収集制限や目的外利用等の制限が緩く、実質的な規制になっていないものであり、制限規定そのものが形骸化しているのでは、罰則を設けても意味がありません。行政機関における個人情報の取り扱いをチェックする第三者機関の設置が不可欠ですが、この点については何ら前進していません。 当会は、昨年の会長談話において、法案の抜本的修正なしに成立するならば、政府は国民の個人情報を歯止めなく利用し、民主主義社会の根幹が揺るがされる危険があることを指摘しました。今般の法案は、修正案として極めて不十分なものであり、強く反対の意思を表明するとともに、衆参両院において改めて議論が尽くされ、抜本的修正がされることを求めます。
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