2003年06月02日更新
去る5月15日、衆議院において、いわゆる有事法制3法案の修正案が可決され、同法案は参議院に回付されて、現在、今通常国会での成立をめざして審理が進められている。
当会は、昨年7月24日の常議員会決議において、この有事法制3法案について、日本国憲法の理念に照らして重大な問題点を抱えていること等から、これに反対し、廃案を求めたところである。
今回衆議院で可決された修正法案は、有事においても表現の自由等の基本的人権は最大限に尊重されなければならないとし、国会に対処措置終了の議決をする権限を認めるなど、いくつかの点で改善が図られてはいる。しかしながら、「武力攻撃事態」等の基本的概念・範囲は依然として極めて曖昧であり、武力攻撃事態等の認定や対処基本方針の策定と対処措置の実施について国会の事前承認を不要とするのもそのままであり、その他、憲法上の平和主義や戦争放棄等の規定、集団的自衛権の不行使などの基本原理との抵触の問題、国民の日常生活・財産権の制約や経済活動の規制等、国民生活への深刻な影響の問題、地方自治体や指定公共機関の重大な責務・規制の問題など、上記常議員会決議で指摘した問題点の多くは依然として解消されていない。
しかも、今回の修正案について、公開された国民的議論が全くなされておらず、手続的にも拙速に過ぎるものと言わざるをえない。
神奈川県は、とくに多数の自衛隊基地及び米軍基地が置かれており、上記のような有事法制の実施による県民生活への影響や地方自治体の活動への影響は、格別に重大かつ深刻なものがある。
よって当会は、このままの有事法制3法修正法案に改めて反対の意思を表明するとともに、この修正法案について、今一度国民的議論に供し、議論を尽くして検討し直すべきことを、強く求めるものである。
2003(平成15)年6月2日 横浜弁護士会 会長 箕山 洋二
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