1999年11月25日更新
去る11月14日、神奈川県警元本部長ら9名が、同県警外事課警察(当時)の覚醒剤事件のもみ消し行為について、犯人隠避の容疑で横浜地方検察庁に書類送検された。
これは、同県警厚木署集団警ら隊内における集団暴行事件、相模原南署警察官(当時)による証拠物のネガフィルムの窃盗及び脅迫事件に引き続き、過去の警察官による事件が発覚したものである。刑事事件に該当する深刻な不祥事が連続して明らかになり、県警の最高幹部までが送検されるに至ったことは未曾有の事態である。しかもその直後に戸塚署の現職警察官らが同僚の女性警察官を恐喝しようとしたとして逮捕され、さらにその後茅ヶ崎署のひき逃げ事故の放置が発覚し、ついには不祥事隠しを申し合わせるかのような報道対応マニュアルの存在が明るみに出るなど、同県警の不祥事は底なしの観を呈しており、遺憾という他はない。
厚木署及び相模原南署の事件についても、県警のトップが事実を隠蔽するような言動がみられたが、覚醒剤事件もみ消しについては、県警の最高責任者が指示し、しかも警察官の非行を取り締まるべき監察官室がもみ消しに奔走したものであり、警察内部のチェックシステムが全く機能していなかったことを指摘せざるを得ない。
かかる組織的犯罪ともいうべき不祥事を二度と繰り返さないためには、関係者に対し厳正な刑事処分及び懲戒処分が課されることが不可欠であるが、それにとどまらず、大幅な制度改革が求められている。警察内部の研修や監察の強化といった内部の改革や少数の外部有識者の意見を聞くことにとどまっていては不十分である。
まず、神奈川県警(公安委員会)にも情報公開条例を適用するべきである。そして、外部有識者による検討の場を県警の組織の外に設け、第三者機関による監察制度の導入等、県警を県民に開かれた民主的な組織とするための抜本的な制度改革を議論すべきである。
当会は、関係諸機関に対し、県警が県民からの信頼を回復するために、これらの対策を速やかに実行するよう求めるものである。
1999年(平成11年)11月25日 横浜弁護士会 会長 岡本 秀雄
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