1999年03月18日更新
わが国の裁判は、時間がかかり過ぎ、当事者の言い分を十分に聞いてくれないという指摘がなされている。その大きな原因の一つは、事件数の増大に応じた裁判官の増員が図られず、裁判官が不足していることにある。
そのため、裁判官は過重とも言える負担を強いられ、個別の事件に十分な時間をかけることが出来ないでいる現実がある。こうした状況が続けば、市民の司法離れの現状がますます進行し、司法に期待されている公正なルールの確立、人権、財産の擁護という使命は縦横に果たされることはないであろう。社会の情報化、専門化、国際化が進み、紛争の内容も多様化、複雑化してゆく現状のもとでは、こうした裁判官不足の現状は放置することのできない重大な問題である。
横浜地方裁判所管内でも裁判官不足は顕著であり、横浜地裁本庁と各支部では個々の裁判官と関係者の努力が続いているものの、その膨大な新受験数に見合う裁判官が配置されているとは到底言いがたい。
当会としては、最高裁判所および政府、国会に対し、市民に納得のゆく裁判、適正な裁判において裁判官の大幅な増員を図るよう、強く要請する次第である
1999年(平成11年)2月10日 横浜弁護士会 会長 井上嘉久
このページの先頭へ