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8 交通事故分野に関する弁護士と他士業との違い
(1)「自賠責保険金の請求/その請求のための相談」に関する弁護士と他士業との違い
弁護士 | 司法書士 | 行政書士 | 税理士 | 社労士 | |
---|---|---|---|---|---|
自賠責保険金の請求/その請求のための相談 | ○ | △ | △ | × | × |
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、自賠責保険金請求やその請求のための相談のいずれについても行うことができ、その権限についての制限もありません。
認定司法書士でない一般の【司法書士】は、自賠責保険金請求にかかる請求書の作成やその請求のための相談を行うことはできません。
能力担保研修を経て簡裁訴訟代理権等を付与された【認定司法書士】は、請求金額が140万円以下の自賠責保険金請求やその請求のための相談を行うことができます。
【行政書士】は、支払請求書兼支払指図書、事故発生状況報告書、交通費明細書等の自賠責保険金請求における書類を作成することやその作成のための相談を行うことができます。
しかし、【行政書士】は、依頼の趣旨に沿って、どのような種類の書類を作成するか、書類にはどのような事項を記入するかといった事項についての作成やその作成のための相談ができるだけで、高度な法律的な判断が含まれる書類の作成やその作成のための相談を行うことはできません。
また、【行政書士】は、依頼者の代理人として、自賠責保険金を請求することも許されていません。
【税理士】・【社労士】は、いずれも、自賠責保険金請求にかかる請求書の作成やそのための相談を行うことはできません。
自賠責保険金請求の場面においては、必ずしても定型的に処理できるものばかりではなく、自賠責保険の適用があるか否か、重過失減額の対象となるか否か、症状固定時期、休業損害の存否・程度、後遺障害該当性・等級、既存障害の有無等が争点となって、高度な法律的な判断に基づいた書面や証拠の作成が求められることがあります。
このような高度な法律的な判断に基づく適切な書面・証拠の作成やその作成のための相談を、なんらの制約もなく行うことができるのは、【弁護士】だけです。
(2)「任意保険会社その他に対する損害賠償請求についての交渉代理/その交渉のための相談」に関する弁護士と他士業との違い
弁護士 | 司法書士 | 行政書士 | 税理士 | 社労士 | |
---|---|---|---|---|---|
任意保険会社その他に対する損害賠償請求についての交渉代理/その交渉のための相談 | ○ | △ | × | × | × |
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、相手方(加害者ないし被害者)や相手方が加入する任意保険会社の担当者と、直接、依頼者の代理人として、損害賠償請求についての交渉を行うことができ、その権限についての制限もありません。
もちろん、【弁護士】は、損害賠償請求についての交渉のための相談を行うこともでき、その相談内容についての制限もありません。
認定司法書士でない一般の【司法書士】は、損害賠償請求についての交渉やそのための相談を行うことはできません。
能力担保研修を経て簡裁訴訟代理権等を付与された【認定司法書士】は、請求金額が140万円以下の損害賠償請求についての交渉やそのための相談を行うことができます。
【行政書士】・【税理士】・【社労士】は、いずれも、交通事故における損害賠償請求についての交渉代理やそのための相談を行うことはできません。
交通事故における損害賠償請求についての交渉やそのための相談にあたっては、各費目ごとの損害額の算出や過失割合をどのように定めるか等、高度な法律的な判断に基づいた書面や証拠の作成が求められます。
このような高度な法律的な判断に基づく適切な書面・証拠の作成やその作成のための相談を、なんらの制約もなく行うことができるのは、【弁護士】だけです。
(3)「加害者に対する損害賠償請求訴訟における代理/その活動のための相談」に関する弁護士と他士業との違い
弁護士 | 司法書士 | 行政書士 | 税理士 | 社労士 | |
---|---|---|---|---|---|
損害賠償請求訴訟における代理/その活動のための相談 | ○ | △ | × | × | × |
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、一方当事者の代理人として、加害者に対する損害賠償請求訴訟の提起や訴訟期日に出頭するなど訴訟活動全般を行うことができ、その権限についての制限もありません。
もちろん、【弁護士】は、損害賠償請求訴訟のための相談を行うこともでき、その相談内容についての制限もありません。
認定司法書士でない一般の【司法書士】は、損害賠償請求訴訟における代理やその活動のための相談を行う権限を認める根拠となる規定がないので、これらを行うことはできません。
能力担保研修を経て簡裁訴訟代理権等を付与された【認定司法書士】は、簡易裁判所における請求金額が140万円以下の損害賠償請求訴訟における代理やその活動のための相談を行うことができます。
しかし、【認定司法書士】であっても、事案が複雑であるといった理由で簡易裁判所に係属する訴訟が地方裁判所に移送されたり、簡易裁判所における判決について控訴されたりした場合には、それ以上関与することができません。
【行政書士】・【税理士】・【社労士】は、いずれも、損害賠償請求訴訟の代理やその活動のための相談を行うことはできません。
損害賠償請求訴訟においては、裁判所において当事者間で争いのある各事項につき、双方主張立証責任を尽くすことが求められており、高度な法律的な判断に基づいた書面や証拠の作成が求められます。
このような高度な法律的な判断に基づく適切な書面・証拠の作成やその作成のための相談を、なんらの制約もなく行うことができるのは、【弁護士】だけです。