神奈川県弁護士会とは
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3 弁護士と税理士との違い
弁護士 | 税理士 | |
---|---|---|
遺言書の作成のための相談 | ○ | × |
遺産分割協議書の作成/その作成のための相談 | ○ | × |
遺産分割・遺留分減殺請求における他の相続人との交渉代理/その交渉のための相談 | ○ | × |
遺産分割調停や審判・遺留分減殺請求調停における代理/その代理のための相談 | ○ | × |
遺産範囲確認請求・遺言無効確認請求・遺留分減殺請求等の訴訟における代理/その代理のための相談 | ○ | × |
(1)弁護士の業務範囲
【弁護士】の業務範囲については、以下のものが規定されています(弁護士法第3条)。
① 訴訟事件に関する行為
② 非訟事件に関する行為
③ 審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為
④ その他一般の法律事務
このように、弁護士は、税務を含む法律事務全般を取り扱うことができ、その権限についての制限はありません。
なお、弁護士は、所属弁護士会を経て、国税局長に通知することにより、その国税局の管轄区域内において、随時、税理士業務を行うこともできます(税理士法第51条第1項)。
(2)税理士の業務範囲
【税理士】の業務範囲については、以下のものが規定されています。
① 税務代理(税理士法第2条第1項第1号)
ア 税務官公署に対する法令に基づく申告等の代理又は代行
イ 税務官公署の調査、処分に対してする主張・陳述についての代理又は代行
② 税務書類(税務官公署に対する申告書等)の作成(税理士法第2条第1項第2号)
③ 税務相談(税務代理又は税務書類作成に関し、租税の課税標準等の計算に関する事項について相談に応ずること/税理士法第2条第1項第3号)
④ 会計業務(税理士業務に付随して行う財務書類の作成、会計帳簿の記載代行その他財務に関する事務/税理士法第2条第2項)
⑤ 租税債務の確定に必要な事務の範囲内で行う社会保険労務士業務(社会保険労務士法第27条ただし書、同法施行令第2条第2号)
⑥ 租税に関する訴訟の補佐人として弁護士である訴訟代理人とともに出頭し陳述する権限(税理士法第2条の2第1項)
⑦ 現物出資等における財産の価格の証明(会社法第207条第9項第4号)
⑧ 会計参与(会社法第333条)
このように、税理士は、税務に関する専門家です。
(3)「遺言書の作成のための相談」に関する弁護士と税理士との違い
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、遺言書の作成のための相談を行うことができ、その権限についての制限もありません。
【税理士】は、税務書類を作成することができ、税務書類には税務官公署に対する申告等に係る申告書、申請書、請求書、不服申立書のほか、届出書、報告書、申出書、申立書、計算書、明細書その他これらに準ずる書類が含まれますが(税理士法第2条第1項第2号、同法施行規則第1条)、遺言書はこれらに含まれていません。
このように、【税理士】は、遺言書の作成のための相談を行う権限を認める根拠となる規定がないので、これらを行うことはできないと考えられています。
(4)「遺産分割協議書の作成/その作成のための相談」に関する弁護士と税理士との違い
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、遺産分割協議書の作成やその作成のための相談のいずれについても行うことができ、その権限についての制限もありません。
【税理士】は、税務書類を作成することができ、税務書類には税務官公署に対する申告等に係る申告書、申請書、請求書、不服申立書のほか、届出書、報告書、申出書、申立書、計算書、明細書その他これらに準ずる書類が含まれますが(税理士法第2条第1項第2号、同法施行令第1条)、遺産分割協議書はこれらに含まれていません。
このように、【税理士】は、遺産分割協議書の作成やその作成のための相談を行う権限を認める根拠となる規定がないので、これらを行うことはできないと考えられています。
(5)「遺産分割・遺留分減殺請求における他の相続人との交渉代理/その交渉のための相談」に関する弁護士と税理士との違い
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、遺産分割において相続人の代理人として他の相続人との交渉を行うことができ、その権限についての制限もありません。
もちろん、【弁護士】は、遺産分割における他の相続人との交渉のための相談を行うこともでき、その相談内容についての制限もありません。
【税理士】は、遺産分割において相続人の代理人として他の相続人との交渉を行うことはできませんし、その交渉のための相談を行うこともできません。
(6)「遺産分割調停や審判・遺留分減殺請求調停における代理/その代理のための相談」に関する弁護士と税理士との違い
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、遺産分割において一方当事者の代理人として遺産分割調停や審判期日に出頭して活動したり、その活動のための相談を行ったりすることができ、その権限についての制限もありません。
【税理士】は、遺産分割調停や審判・遺留分減殺請求調停において、一方当事者の代理人として活動したり、その代理人として活動するための相談を行ったりすることはできません。
(7)「遺産範囲確認請求・遺言無効確認請求・遺留分減殺請求等の訴訟における代理/その代理のための相談」に関する弁護士と税理士との違い
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、遺産分割に先立って解決しなければならない遺産の範囲の確認を求める訴訟や遺言が無効であることの確認を求める訴訟・遺留分減殺請求訴訟等の訴訟手続において、一方当事者の代理人として活動したり、その活動のための相談を行ったりすることができ、その権限についての制限もありません。
【税理士】は、一方当事者の代理人として活動したり、その活動のための相談を行ったりすることはできません。