神奈川県弁護士会とは
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2 弁護士と行政書士との違い
(1)弁護士の業務範囲
【弁護士】の業務範囲については、以下のものが規定されています(弁護士法第3条)。
① 訴訟事件に関する行為
② 非訟事件に関する行為
③ 審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為
④ その他一般の法律事務
このように、弁護士は、法律事務全般を取り扱うことができ、その権限についての制限はありません。
(2)行政書士の業務範囲
ア 特定行政書士でない一般の行政書士の業務範囲
特定行政書士でない一般の行政書士の業務範囲については、以下のものが規定されています。
① その業務を行うことが他の法律において制限されているものを除く、以下の書類(その作成に代えて電磁的記録を作成する場合における当該電磁的記録を含む。)の作成(行政書士法第1条の2第1項、第2項)
a 官公署に提出する書類
例)建設業許可申請書、飲食店営業許可申請書等の作成
b 権利義務に関する書類
例)各種契約書、入居申込書等の作成
c 事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)
例)履歴書、身分証明書、許可申請書添付の見取図等の作成
② 官公署に提出する書類を官公署に提出する手続について代理すること(行政書士法第1条の3第1号)
③ 官公署に提出する書類に係る許認可等に関して行われる聴聞又は弁明の機会の付与の手続その他の意見陳述のための手続において当該官公署に対してする行為(弁護士法第72条に規定する法律事件に関する法律事務に該当するものを除く。)について代理すること(行政書士法第1条の3第1号)
④ 行政書士が作成できる契約その他に関する書類を代理人として作成すること(行政書士法第1条の3第1項第3号)
⑤ 行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること(行政書士法第1条の3第1項第4号)
⑥ 出入国関係申請取次業務(在留資格認定証明書交付等の申請に関し、申請書・資料・書類の提出、書類の提示を行う業務)
⑦ 行政書士又は行政書士法人を派遣先とする行政書士の労働者派遣事業
⑧ 行政書士又は行政書士法人の業務に関連する講習会の開催、出版物の刊行その他の教育及び普及の業務
⑨ 行政書士又は行政書士法人の業務に附帯し、又は密接に関連する業務
⑩ 他人の求めに応じ、ゴルフ場利用税、自動車税、軽自動車税、自動車取得税、事業所税、石油ガス税、不動産取得税、道府県たばこ税(都たばこ税を含む。)、市町村たばこ税(特別区たばこ税を含む。)、特別土地保有税及び入湯税に関する税務書類の作成(税理士法第51条の2、同法施行令第14条の2)
なお、これらのほか、昭和55年9月1日以前に行政書士会に入会している行政書士については、社会保険労務士業務を業とすることが認められています(昭和55年法律第29号附則第2項)。
このうち、上記④~⑨の業務については、行政書士以外の者が取り扱うことを禁止する規定が設けられていません。
イ 特定行政書士の業務範囲
日本行政書士連合会がその会則で定めるところにより実施する研修の課程を修了した特定行政書士は、上記①~⑩に加え、以下の業務を行うことができます。
⑪ 行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可等に関する審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての手続について代理し、その手続について官公署に提出する書類を作成すること(行政書士法第1条の3第1項第2号)
このように、行政書士は、書類作成の専門家といえます。
(3)「離婚問題」に関する弁護士と行政書士との違い
ア 「離婚協議書の作成/その作成のための相談」に関する弁護士と行政書士との違い
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、離婚協議書の作成やその作成のための相談のいずれも行うことができ、その権限についての制限もありません。
【行政書士】は、離婚協議書の作成やその作成のための相談を行うことができます。
しかし、【行政書士】は、離婚協議書の作成やその作成のための相談に関して、依頼の趣旨に沿って、どのような種類の書類を作成するか、書類にはどのような事項を記入するかといった事項についての作成やその作成のための相談ができるだけで、高度な法律的な判断が含まれる離婚協議書の作成やその作成のための相談を行うことはできません。
離婚協議書は、夫婦双方が離婚をめぐる一切の問題について合意した事項を記載する書面ですので、その作成により離婚をめぐる問題のすべてを解決して、後日の紛争を防止する役割が期待されています。
そのため、離婚協議書の作成にあたっては、その記載が不適切であるが故に後に生ずる紛争を取り扱っている専門家が、その経験を踏まえつつ、そのような紛争が後に生ずることのないよう、高度な法律的な判断に基づいて適切なアドバイスを行う必要があります。
このような高度な法律的な判断に基づく適切なアドバイスを行う権限が【弁護士】にはありますが、【行政書士】にはありません。
また、離婚協議書は、夫婦の双方が離婚をめぐる一切の問題について合意してはじめて作成されるもので、通常はその作成に先立って、相手方との交渉が不可欠です。
その交渉を行う権限が【弁護士】にはありますが、【行政書士】にはありません。
イ 「離婚に伴う養育費・財産分与・慰謝料等の支払を求める書類の作成/その作成のための相談」に関する弁護士と行政書士との違い
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、離婚に伴う養育費・財産分与・慰謝料等の支払を求める書類の作成やその作成のための相談のいずれも行うことができ、その権限についての制限もありません。
【行政書士】は、離婚に伴う養育費・財産分与・慰謝料等の支払を求める書類の作成やその作成のための相談を行うことができます。
しかし、【行政書士】は、離婚に伴う養育費・財産分与・慰謝料等の支払を求める書類の作成やその作成のための相談に関して、依頼の趣旨に沿って、どのような種類の書類を作成するか、書類にはどのような事項を記入するかといった事項についての作成やその作成のための相談ができるだけで、高度な法律的な判断が含まれる書類の作成やその作成のための相談を行うことはできません。
離婚に伴う養育費・財産分与・慰謝料等の支払を求める書類は、離婚問題において一方当事者の要望を明らかにして相手方の反応をみるために作成するもので、最終的にどのように離婚問題を解決するかを念頭に置いて作成される必要があります。
そのため、その作成にあたっては、相手方がその要望に応じなかった場合に調停・訴訟等でどのように対処するかといった紛争を取り扱っている専門家が、高度な法律的な判断に基づいて適切なアドバイスを行う必要があります。
このような高度な法律的な判断に基づく適切なアドバイスを行う権限が【弁護士】にはありますが、【行政書士】にはありません。
また、離婚に伴う養育費・財産分与・慰謝料等の支払を求める書類を送付するだけで相手方が応じるということはきわめて稀で、通常はその書類送付後に相手方との交渉が不可欠です。
その交渉を行う権限が【弁護士】にはありますが、【行政書士】にはありません。
ウ 「夫婦関係調整(離婚・円満)調停申立書等や離婚請求訴訟の訴状等の作成/その作成のための相談」に関する弁護士と行政書士との違い
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、夫婦関係調整(離婚・円満)調停申立書等や離婚請求訴訟の訴状等の作成やその作成のための相談のいずれも行うことができ、その権限についての制限もありません。
【行政書士】は、夫婦関係調整(離婚・円満)調停申立書等や離婚請求訴訟の訴状等の作成やその作成のための相談を行うことはできません。
エ 「離婚問題における相手方との交渉代理/その交渉のための相談」に関する弁護士と行政書士との違い
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、離婚問題において一方当事者の代理人として相手方との交渉を行うことができ、その権限についての制限もありません。
もちろん、【弁護士】は、相手方との交渉のための相談を行うこともでき、その相談内容についての制限もありません。
【行政書士】は、一方当事者の代理人として相手方との交渉を行ったり、その交渉のための相談を行ったりすることはできません。
オ 「夫婦関係調整(離婚・円満)調停や離婚請求訴訟における代理/その代理のための相談」に関する弁護士と行政書士との違い
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、夫婦関係調整(離婚・円満)調停や離婚請求において一方当事者の代理人として調停や弁論の期日に出頭するなどの活動ができ、その権限についての制限もありません。
もちろん、【弁護士】は、代理人として活動するための相談を行うこともでき、その相談内容についての制限もありません。
【行政書士】は、夫婦関係調整(離婚・円満)調停や離婚請求において一方当事者の代理人として活動したり、その代理人として活動するための相談を行ったりすることはできません。
(4)「男女問題」に関する弁護士と行政書士との違い
ア 「慰謝料等の支払を求める書類の作成/その作成のための相談」に関する弁護士と行政書士との違い
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、不貞行為に及んだ第三者に対する慰謝料請求・婚約不履行や内縁の不当破棄を理由とする相手方に対する損害賠償請求・内縁関係解消に伴う養育費や財産分与等の支払を求める事件のいずれについても、書類の作成や、その作成のための相談のいずれも行うことができ、その権限についての制限もありません。
【行政書士】は、不貞行為に及んだ第三者に対する慰謝料請求・婚約不履行や内縁の不当破棄を理由とする相手方に対する損害賠償請求・内縁関係解消に伴う養育費や財産分与等の支払を求める書類の作成や、その作成のための相談を行うことができます。
しかし、【行政書士】は、これらの支払を求める書類の作成やその作成のための相談に関して、依頼の趣旨に沿って、どのような種類の書類を作成するか、書類にはどのような事項を記入するかといった事項についての作成やその作成のための相談ができるだけで、高度な法律的な判断が含まれる書類の作成やその作成のための相談を行うことはできません。
不貞行為に及んだ第三者に対する慰謝料請求・婚約不履行や内縁の不当破棄を理由とする相手方に対する損害賠償請求・内縁関係解消に伴う養育費や財産分与等の支払を求める書類は、一方当事者の要望を明らかにして相手方の反応をみるために作成するもので、最終的にどのように問題を解決するかを念頭に置いて作成される必要があります。
そのため、その作成にあたっては、相手方がその要望に応じなかった場合に調停・訴訟等でどのように対処するかといった紛争を取り扱っている専門家が、高度な法律的な判断に基づいて適切なアドバイスを行う必要があります。
このような高度な法律的な判断に基づく適切なアドバイスを、なんらの制約もなく行うことができる権限が【弁護士】にはありますが、【行政書士】にはありません。
イ 「示談書の作成/その作成のための相談」に関する弁護士と行政書士との違い
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、不貞行為に及んだ第三者に対する慰謝料請求・婚約不履行や内縁の不当破棄を理由とする相手方に対する損害賠償請求・内縁関係解消に伴う養育費や財産分与等の支払を求める事件のいずれについても、示談書の作成やその作成のための相談のいずれも行うことができ、その権限についての制限もありません。
【行政書士】は、示談書の作成やその作成のための相談を行うことができます。
しかし、【行政書士】は、示談書の作成やその作成のための相談に関して、依頼の趣旨に沿って、どのような種類の書類を作成するか、書類にはどのような事項を記入するかといった事項についての作成やその作成のための相談ができるだけで、高度な法律的な判断が含まれる示談書の作成やその作成のための相談を行うことはできません。
示談書は、当事者双方が慰謝料等の支払をめぐる一切の問題について合意した事項を記載する書面ですので、その作成によりその問題のすべてを解決して、後日の紛争を防止する役割が期待されています。
そのため、示談書の作成にあたっては、その記載が不適切であるが故に後に生ずる紛争を取り扱っている専門家が、その経験を踏まえつつ、そのような紛争が後に生ずることのないよう、高度な法律的な判断に基づいて適切なアドバイスを行う必要があります。
このような高度な法律的な判断に基づく適切なアドバイスをできる権限が【弁護士】にはありますが、【行政書士】にはありません。
また、示談書は、当事者双方が合意してはじめて作成されるもので、通常はその作成に先立って、相手方との交渉が不可欠です。
その交渉を行う権限が【弁護士】にはありますが、【行政書士】にはありません。
ウ 「慰謝料等の支払を求める調停申立書等・損害賠償請求訴訟における訴状等の作成/その作成のための相談」に関する弁護士と行政書士との違い
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、不貞行為に及んだ第三者に対する慰謝料請求・婚約不履行や内縁の不当破棄を理由とする相手方に対する損害賠償請求・認知請求・内縁関係解消に伴う養育費や財産分与等の支払を求める事件のいずれについても、調停申立書等や訴状等の作成や、その作成のための相談のいずれも行うことができ、その権限についての制限もありません。
【行政書士】は、不貞行為に及んだ第三者に対する慰謝料請求・婚約不履行や内縁の不当破棄を理由とする相手方に対する損害賠償請求・内縁関係解消に伴う養育費や財産分与等の支払を求める事件の調停申立書等や訴状等の作成や、その作成のための相談を行うことはできません。
エ 「慰謝料等の請求に関する相手方との交渉代理/その交渉のための相談」に関する弁護士と行政書士との違い
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、不貞行為に及んだ第三者に対する慰謝料請求・婚約不履行や内縁の不当破棄を理由とする相手方に対する損害賠償請求・認知請求・内縁関係解消に伴う養育費や財産分与等の支払を求める事件のいずれについても、相手方との交渉や、その交渉のための相談のいずれも行うことができ、その権限についての制限もありません。
【行政書士】は、一方当事者の代理人として相手方との交渉を行ったり、その交渉のための相談を行ったりすることはできません。
オ 「慰謝料等の支払を求める調停や損害賠償請求訴訟における代理/その活動のための相談」に関する弁護士と行政書士との違い
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、不貞行為に及んだ第三者に対する慰謝料請求・婚約不履行や内縁の不当破棄を理由とする相手方に対する損害賠償請求・認知請求・内縁関係解消に伴う養育費や財産分与等の支払を求める事件のいずれについても、一方当事者の代理人として調停や弁論の期日に出頭するなどの活動ができ、その権限についての制限もありません。
もちろん、【弁護士】は、その活動のための相談を行うこともでき、その権限についての制限もありません。
【行政書士】は、不貞行為に及んだ第三者に対する慰謝料請求・婚約不履行や内縁の不当破棄を理由とする相手方に対する損害賠償請求・認知請求・内縁関係解消に伴う養育費や財産分与等の支払を求める事件について一方当事者の代理人として活動したり、その活動のために相談を行ったりすることはできません。
(5)遺言・相続分野に関する弁護士と行政書士との違い
ア 「遺言書の作成のための相談」に関する弁護士と行政書士との違い
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、遺言書の作成のための相談を行うことができ、その権限についての制限もありません。
【行政書士】は、遺言書の作成のための相談を行うことができます。
しかし、【行政書士】は、遺言書の作成のための相談に関して、依頼の趣旨に沿って、どのような種類の書類を作成するか、書類にはどのような事項を記入するかといった事項についての作成やその作成のための相談ができるだけで、高度な法律的な判断が含まれる遺言書の作成やその作成のための相談を行うことはできません。
遺言書は、遺言者の意思を反映させたり相続の際に相続人間でのもめ事を避けたりするために作成するものです。
そのため、遺言書の作成にあたっては、遺言書がない場合に生ずる紛争や、遺言書の記載が不適切であるが故に後に生ずる紛争を取り扱っている専門家が、その経験を踏まえつつ、そのような紛争が後に生ずることのないよう、高度な法律的な判断に基づいて適切なアドバイスを行う必要があります。
そして、このような高度な法律的な判断に基づく適切なアドバイスを行う権限が【弁護士】にはありますが、【行政書士】にはありません。
イ 「遺産分割協議書の作成/その作成のための相談」に関する弁護士と行政書士との違い
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、遺産分割協議書の作成やその作成のための相談のいずれについても行うことができ、その権限についての制限もありません。
【行政書士】は、遺産分割協議書の作成や遺言書作成のための相談を行うことができます。
しかし、【行政書士】は、遺産分割協議書の作成やその作成のための相談に関して、依頼の趣旨に沿って、どのような種類の書類を作成するか、書類にはどのような事項を記入するかといった事項についての作成やその作成のための相談ができるだけで、高度な法律的な判断が含まれる遺産分割協議書の作成やその作成のための相談を行うことはできません。
遺産分割協議書は、すべての相続人が遺産の分割の内容について合意した事項について記載する書面ですので、その作成により遺産分割協議を完了させ、後日の紛争を防止する役割が期待されています。
そのため、遺産分割協議書の作成にあたっては、その記載が不適切であるが故に後に生ずる紛争を取り扱っている専門家が、その経験を踏まえつつ、そのような紛争が後に生ずることのないよう、高度な法律的な判断に基づいて適切なアドバイスを行う必要があります。
このような高度な法律的な判断に基づく適切なアドバイスを行うことができる権限が【弁護士】にはありますが、【行政書士】にはありません。
また、遺産分割協議書は、すべての相続人が遺産の分割の内容について合意してはじめて作成されるもので、通常はその作成に先立って、他の相続人との交渉が不可欠です。
その交渉を行う権限が【弁護士】にはありますが、【行政書士】にはありません。
ウ 「遺産分割調停申立書等の作成/その作成のための相談」に関する弁護士と行政書士との違い
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、遺産分割調停申立書等の裁判所提出書類の作成やその作成のための相談のいずれについても行うことができ、その権限についての制限もありません。
【行政書士】は、遺産分割調停申立書等の裁判所提出書類の作成やその作成のための相談を行うことはできません。
エ 「遺産分割・遺留分減殺請求における他の相続人との交渉代理/その交渉のための相談」に関する弁護士と行政書士との違い
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、遺産分割・遺留分減殺請求のいずれの場面においても相続人の代理人として他の相続人との交渉を行うことができ、その権限についての制限もありません。
もちろん、【弁護士】は、遺産分割・遺留分減殺請求のいずれの場面においても他の相続人との交渉のための相談を行うこともでき、その相談内容についての制限もありません。
【行政書士】は、遺産分割・遺留分減殺請求のいずれの場面においても、相続人の代理人として他の相続人との交渉を行うことや、その交渉のための相談を行うことはできません。
オ 「遺産分割調停や審判・遺留分減殺請求調停における代理/その活動のための相談」に関する弁護士と行政書士との違い
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、遺産分割において一方当事者の代理人として遺産分割調停や審判期日に出頭して活動したり、その活動のための相談を行ったりすることができ、その権限についての制限もありません。
【行政書士】は、遺産分割調停や審判・遺留分減殺請求調停において、一方当事者の代理人として活動したり、その代理人として活動するための相談を行ったりすることはできません。
カ 「遺産範囲確認請求・遺言無効確認請求・遺留分減殺請求等の訴訟における代理/その活動のための相談」に関する弁護士と行政書士との違い
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、遺産分割に先立って解決しなければならない遺産の範囲の確認を求める訴訟や遺言が無効であることの確認を求める訴訟・遺留分減殺請求訴訟等の訴訟手続において、一方当事者の代理人として活動したり、その活動のための相談を行ったりすることができ、その権限についての制限もありません。
【行政書士】は、一方当事者の代理人として活動したり、その活動のための相談を行ったりすることはできません。
(6)債務整理分野に関する弁護士と行政書士との違い
ア 「自己破産・個人再生申立て/その申立てのための相談」に関する弁護士と行政書士との違い
「自己破産」とは、債務者自らが支払不能であることを理由として債務を支払う責任を免れるために裁判所を利用する手続です。
「個人再生」とは、住宅等の財産を維持しつつ債務を減額してもらうために裁判所を利用する手続です。
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、自己破産や個人再生について代理人として関与することや、その申立てのための相談を行うことができ、その権限についての制限もありません。
【行政書士】は、自己破産・個人再生申立てやその申立てのための相談をおこなうことができません。
自己破産・個人再生申立てを含む債務整理とは、依頼者に代わってその債権者に対し照会をし、債権の内容・額・取引履歴等について調査をした上で、債務額を確定し、終局的には債務を整理するもので、一連の債務整理の処理手続は一体をなすものです。
そのため、依頼者に代わってその債権者に対し照会をし、債権の内容・額・取引履歴等について調査をするといった行為も、その債務整理の重要な一部分となることから、これに【行政書士】が関与することは弁護士法第72条違反として許されていません。
イ 「任意整理/任意整理のための相談」に関する弁護士と行政書士との違い
「任意整理」とは、裁判所が関与することなく、債権者との間で交渉し債務の減額や支払期間の延長をはかる手続です。
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、任意整理やそのための相談を行うことができ、その権限についての制限もありません。
【行政書士】は、任意整理やそのための相談をおこなうことができません。
任意整理を含む債務整理とは、依頼者に代わってその債権者に対し照会をし、債権の内容・額・取引履歴等について調査をした上で、債務額を確定し、終局的には債務を整理するもので、一連の債務整理の処理手続は一体をなすものです。
そのため、依頼者に代わってその債権者に対し照会をし、債権の内容・額・取引履歴等について調査をするといった行為も、その債務整理の重要な一部分となることから、これに【行政書士】が関与することは弁護士法第72条違反として許されていません。
ウ 「過払金回収/過払金回収のための相談」に関する弁護士と行政書士との違い
「過払金回収」とは、利息制限法の制限利率を超えて支払った利息を元本に充当した後も余剰がある場合に、その余剰金員の返還を求めるものです。
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、遺産分割調停申立書等の裁判所提出書類の作成やその作成のための相談のいずれについても行うことができ、その権限についての制限もありません。
【行政書士】は、過払金回収やそのための相談を行うことはできません。
(7)交通事故分野に関する弁護士と行政書士との違い
ア 「自賠責保険金の請求/その請求のための相談」に関する弁護士と行政書士との違い
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、自賠責保険金請求やその請求のための相談のいずれについても行うことができ、その権限についての制限もありません。
【行政書士】は、支払請求書兼支払指図書、事故発生状況報告書、交通費明細書等の自賠責保険金請求における書類を作成することやその作成のための相談を行うことができます。
しかし、【行政書士】は、依頼の趣旨に沿って、どのような種類の書類を作成するか、書類にはどのような事項を記入するかといった事項についての作成やその作成のための相談ができるだけで、高度な法律的な判断が含まれる書類の作成やその作成のための相談を行うことはできません。
また、【行政書士】は、依頼者の代理人として、自賠責保険金を請求することも許されていません。
自賠責保険金請求の場面においては、必ずしても定型的に処理できるものばかりではなく、自賠責保険の適用があるか否か、重過失減額の対象となるか否か、症状固定時期、休業損害の存否・程度、後遺障害該当性・等級、既存障害の有無等が争点となって、高度な法律的な判断に基づいた書面や証拠の作成が求められることがあります。
このような高度な法律的な判断に基づく適切な書面・証拠の作成やその作成のための相談を行うことができる権限が【弁護士】にはありますが、【行政書士】にはありません。
イ 「任意保険会社その他に対する損害賠償請求についての交渉代理/その交渉のための相談」に関する弁護士と行政書士との違い
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、相手方(加害者ないし被害者)や相手方が加入する任意保険会社の担当者と、直接、依頼者の代理人として、損害賠償請求についての交渉を行うことができ、その権限についての制限もありません。
もちろん、【弁護士】は、損害賠償請求についての交渉のための相談を行うこともでき、その相談内容についての制限もありません。
【行政書士】は、交通事故における損害賠償請求についての交渉代理やそのための相談を行うことはできません。
ウ 「加害者に対する損害賠償請求訴訟における代理/その活動のための相談」に関する弁護士と行政書士との違い
【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、一方当事者の代理人として、加害者に対する損害賠償請求訴訟の提起や訴訟期日に出頭するなど訴訟活動全般を行うことができ、その権限についての制限もありません。
もちろん、【弁護士】は、損害賠償請求訴訟のための相談を行うこともでき、その相談内容についての制限もありません。
【行政書士】は、損害賠償請求訴訟における代理やその活動のための相談を行うことはできません。