ページの先頭です。
本文へジャンプする。
サイト内共通メニューここまで。

1 弁護士と司法書士との違い

    弁護士 司法書士
    弁護士 司法書士
離婚問題 離婚協議書の作成/その作成のための相談
離婚に伴う養育費・財産分与・慰謝料等の支払を求める書類の作成/その作成のための相談 ×
夫婦関係調整(離婚・円満)調停申立書等や離婚請求訴訟の訴状等の作成/その作成のための相談
離婚問題における相手方との交渉代理/その交渉のための相談 ×
夫婦関係調整(離婚・円満)調停や離婚請求訴訟における代理/その代理のための相談 ×
男女問題 慰謝料等の支払を求める書類の作成/その作成のための相談
示談書の作成/その作成のための相談
慰謝料等の支払を求める調停申立書等・損害賠償請求訴訟における訴状等の作成/その作成のための相談
慰謝料等の請求に関する相手方との交渉代理/その交渉のための相談
慰謝料等の支払を求める調停や損害賠償請求訴訟における代理/その活動のための相談
遺言・相続分野 遺言書の作成のための相談
遺産分割協議書の作成/その作成のための相談
遺産分割調停申立書等の作成/その作成のための相談
遺産分割・遺留分減殺請求における他の相続人との交渉代理/その交渉のための相談
遺産分割調停や審判・遺留分減殺請求調停における代理/その活動のための相談 ×
遺産範囲確認請求・遺言無効確認請求・遺留分減殺請求等の訴訟における代理/その活動のための相談
債務整理分野 自己破産・個人再生申立て/その申立てのための相談
任意整理/任意整理のための相談
過払金回収/過払金回収のための相談
交通事故分野 自賠責保険金の請求/その請求のための相談
任意保険会社その他に対する損害賠償請求についての交渉代理/その交渉のための相談
加害者に対する損害賠償請求訴訟における代理/その活動のための相談

(1)弁護士の業務範囲

 【弁護士】の業務範囲については、以下のものが規定されています(弁護士法第3条)。

① 訴訟事件に関する行為

② 非訟事件に関する行為

③ 審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件に関する行為

④ その他一般の法律事務

 このように、弁護士は、司法書士が行う登記手続等の代理を含む、法律事務全般を取り扱うことができ、その権限についての制限はありません。

このページの先頭へ

 

(2)司法書士の業務範囲

ア 認定司法書士でない一般の司法書士の業務範囲

 認定司法書士でない一般の司法書士の業務範囲については、以下のものが規定されています。

① 登記・供託に関する手続について代理すること(司法書士法第3条第1項第1号)

② 法務局又は地方法務局に提出・提供する書類・電磁的記録を作成すること(司法書士法第3条第1項第2号)

③ 法務局・地方法務局の長に対する登記・供託に関する審査請求手続について代理すること(司法書士法第3条第1項第3号)

④ 裁判所・検察庁に提出する書類、筆界特定の手続において法務局・地方法務局に提出・提供する書類・電磁的記録を作成すること(司法書士法第3条第1項第4号)

⑤ 上記①~④の事務について相談に応ずること(司法書士法第3条第1項第5号)

⑥ 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、管財人、管理人その他これらに類する地位に就き、他人の事業の経営、他人の財産の管理・処分を行う業務、これらの業務を行う者を代理し、又は補助する業務(司法書士法第29条第1項第1号、同法施行規則第31条第1号)

⑦ 当事者その他関係人の依頼又は官公署の委嘱により、後見人・保佐人・補助人・監督委員その他これらに類する地位に就き、他人の法律行為について、代理・同意・取消しを行う業務又はこれらの業務を行う者を監督する業務(司法書士法第29条第1項第1号、同法施行規則第31条第2号)

⑧ 司法書士又は司法書士法人の業務に関連する講演会の開催、出版物の刊行その他の教育及び普及の業務(司法書士法第29条第1項第1号、同法施行規則第31条第3号)

⑨ 競争の導入による公共サービスの改革に関する法律第33条の2第1項に規定する特定業務(司法書士法第29条第1項第1号、同法施行規則第31条第4号)

⑩ 上記①~⑨に掲げる業務に附帯し、又は密接に関連する業務(司法書士法第29条第1項第1号、同法施行規則第31条第5号)

 このうち、上記⑥~⑩の業務については、司法書士以外の者が取り扱うことを禁止する規定が設けられていません。

イ 認定司法書士の業務範囲

 能力担保研修を経て簡裁訴訟代理権等を付与された【認定司法書士】は、上記①~⑩に加え、以下の業務を行うことができます。

⑪ 簡易裁判所における以下のa~eの手続について代理すること(ただし、自ら代理人として手続に関与している事件の判決・決定・命令に係るものを除く上訴の提起、再審及び以下のeの手続を除く強制執行に関する事項については代理することができない。/司法書士法第3条第1項第6号)

a 訴訟の目的の価額が140万円以下の民事訴訟手続(同号イ)

b 請求の目的の価額が140万円以下の訴え提起前の和解の手続・支払督促の手続(同号ロ)

c 本案の訴訟の目的の価額が140万円以下の訴えの提起前の証拠保全手続・民事保全手続(同号ハ)

d 調停を求める事項の価額が140万円以下の民事調停手続(同号ニ)

e 請求の価額が140万円以下の少額訴訟債権執行の手続

⑫ 紛争の目的の価額が140万円以下の、簡易裁判所における民事訴訟法の規定による訴訟手続の対象となる民事に関する紛争について、相談に応じ、仲裁事件の手続・裁判外の和解について代理すること(司法書士法第3条第1項第7号)

⑬ 対象土地の価額として法務省令で定める方法により算定される額の合計額の2分の1に相当する額に筆界特定によって通常得られることとなる利益の割合として法務省令で定める割合を乗じて得た額が140万円以下の筆界特定の手続について、相談に応じ、又は代理すること(司法書士法第3条第1項第8号)

 このように、認定司法書士でない一般の司法書士の基本的な権限は、登記手続等の代理と裁判所等に提出する書類の作成にありますが、認定司法書士においては、請求額が140万円以下の民事に関する紛争等に限り、弁護士と同様の権限が与えられています。

このページの先頭へ

 

(3)「離婚問題」に関する弁護士と司法書士との違い

ア 「離婚協議書の作成/その作成のための相談」に関する弁護士と司法書士との違い

 【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、離婚協議書の作成やその作成のための相談のいずれも行うことができ、その権限についての制限もありません。

 【司法書士】は、離婚に伴う財産分与を原因とする所有権移転登記手続の場面における「法務局又は地方法務局に提出し、又は提出する書類」の附属書類としてであれば離婚協議書を作成可能であり、その作成のための相談も可能であるという見解がみられます。
 しかし、【司法書士】は、それ以外の場面では離婚協議書を作成したり、その作成のための相談を行ったりすることはできません。
 また、【司法書士】は、離婚協議書の作成やその作成のための相談に関して、依頼の趣旨に沿って、どのような種類の書類を作成するか、書類にはどのような事項を記入するかといった事項についての作成やその作成のための相談ができるだけで、高度な法律的な判断が含まれる離婚協議書の作成やその作成のための相談を行うことはできません。

 離婚協議書は、夫婦双方が離婚をめぐる一切の問題について合意した事項を記載する書面ですので、その作成により離婚をめぐる問題のすべてを解決して、後日の紛争を防止する役割が期待されています。
 離婚に伴う財産分与を原因とする所有権移転登記手続を行う場合以外にも離婚協議書を作成する必要が生ずることは多々あり、それらの場面において離婚協議書を作成する権限が【弁護士】にはありますが、【司法書士】にはありません。
 また、離婚協議書の作成にあたっては、その記載が不適切であるが故に後に生ずる紛争を取り扱っている専門家が、その経験を踏まえつつ、そのような紛争が後に生ずることのないよう、高度な法律的な判断に基づいて適切なアドバイスを行う必要があります。
 このような高度な法律的な判断に基づく適切なアドバイスを行う権限が【弁護士】にはありますが、【司法書士】にはありません。
 さらに、離婚協議書は、夫婦の双方が離婚をめぐる一切の問題について合意してはじめて作成されるもので、通常はその作成に先立って、相手方との交渉が不可欠です。
 その交渉を行う権限が【弁護士】にはありますが、【司法書士】にはありません。

イ 「離婚に伴う養育費・財産分与・慰謝料等の支払を求める書類の作成/その作成のための相談」に関する弁護士と司法書士との違い

 【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、離婚に伴う養育費・財産分与・慰謝料等の支払を求める書類の作成やその作成のための相談のいずれも行うことができ、その権限についての制限もありません。

 【司法書士】は、離婚に伴う養育費・財産分与・慰謝料等の支払を求める書類の作成やその作成のための相談を行う権限を認める根拠となる規定がないので、これらを行うことはできないと考えられています。

ウ 「夫婦関係調整(離婚・円満)調停申立書等や離婚請求訴訟の訴状等の作成/その作成のための相談」に関する弁護士と司法書士との違い

 【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、夫婦関係調整(離婚・円満)調停申立書等や離婚請求訴訟の訴状等の作成やその作成のための相談のいずれも行うことができ、その権限についての制限もありません。

 【司法書士】は、夫婦関係調整(離婚・円満)調停申立書等や離婚請求訴訟の訴状等の裁判所提出書類の作成や、その作成のための相談のいずれについても行うことができます。
 しかし、【司法書士】は、夫婦関係調整(離婚・円満)調停申立書等や離婚請求訴訟の訴状等の作成やその作成のための相談に関して、依頼の趣旨に沿って、どのような種類の書類を作成するか、書類にはどのような事項を記入するかといった事項についての作成やその作成のための相談ができるだけで、高度な法律的な判断が含まれる書類の作成やその作成のための相談を行うことはできません。

エ 「離婚問題における相手方との交渉代理/その交渉のための相談」に関する弁護士と司法書士との違い

 【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、離婚問題において一方当事者の代理人として相手方との交渉を行うことができ、その権限についての制限もありません。
 もちろん、【弁護士】は、相手方との交渉のための相談を行うこともでき、その相談内容についての制限もありません。

 【司法書士】は、離婚問題において一方当事者の代理人として相手方との交渉を行うことはできませんし、その交渉のための相談を行うこともできません。

オ 「夫婦関係調整(離婚・円満)調停や離婚請求訴訟における代理/その代理のための相談」に関する弁護士と司法書士との違い

 【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、夫婦関係調整(離婚・円満)調停や離婚請求において一方当事者の代理人として調停や弁論の期日に出頭するなどの活動ができ、その権限についての制限もありません。
 もちろん、【弁護士】は、代理人として活動するための相談を行うこともでき、その相談内容についての制限もありません。

 【司法書士】は、夫婦関係調整(離婚・円満)調停や離婚請求において一方当事者の代理人として活動したり、その代理人として活動するための相談を行ったりすることはできません。

このページの先頭へ

 

(4)「男女問題」に関する弁護士と司法書士との違い

ア 「慰謝料等の支払を求める書類の作成/その作成のための相談」に関する弁護士と司法書士との違い

 【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、不貞行為に及んだ第三者に対する慰謝料請求・婚約不履行や内縁の不当破棄を理由とする相手方に対する損害賠償請求・内縁関係解消に伴う養育費や財産分与等の支払を求める事件のいずれについても、書類の作成や、その作成のための相談のいずれも行うことができ、その権限についての制限もありません。

 認定司法書士でない一般の【司法書士】は、不貞行為に及んだ第三者に対する慰謝料請求・婚約不履行や内縁の不当破棄を理由とする相手方に対する損害賠償請求・内縁関係解消に伴う養育費や財産分与等の支払を求める書類の作成や、その作成のための相談を行うことはできません。
 能力担保研修を経て簡裁訴訟代理権等を付与された【認定司法書士】は、請求金額が140万円以下の不貞行為に及んだ第三者に対する慰謝料請求・婚約不履行や内縁の不当破棄を理由とする相手方に対する損害賠償請求等の支払を求める書類の作成や、その作成のための相談を行うことができます。
 もっとも、【認定司法書士】であっても、取り扱うことができるのは、「簡易裁判所における民事訴訟法の規定による訴訟手続の対象となるもの」に限られることから、内縁関係解消に伴う養育費や財産分与等の支払といった家庭裁判所で取り扱われる事件については取り扱うことができず、これらの事件については支払を求める書類の作成やその作成のための相談を行うことはできません。

イ 「示談書の作成/その作成のための相談」に関する弁護士と司法書士との違い

 【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、不貞行為に及んだ第三者に対する慰謝料請求・婚約不履行や内縁の不当破棄を理由とする相手方に対する損害賠償請求・内縁関係解消に伴う養育費や財産分与等の支払を求める事件のいずれについても、示談書の作成やその作成のための相談のいずれも行うことができ、その権限についての制限もありません。

 認定司法書士でない一般の【司法書士】は、示談書の作成やその作成のための相談を行うことはできません。
 能力担保研修を経て簡裁訴訟代理権等を付与された【認定司法書士】は、請求金額が140万円以下の不貞行為に及んだ第三者に対する慰謝料請求・婚約不履行や内縁の不当破棄を理由とする相手方に対する損害賠償請求等の支払を求める事件における示談書の作成や、その作成のための相談を行うことができます。
 もっとも、【認定司法書士】であっても、取り扱うことができるのは、「簡易裁判所における民事訴訟法の規定による訴訟手続の対象となるもの」に限られることから、内縁関係解消に伴う養育費や財産分与等の支払といった家庭裁判所で取り扱われる事件については取り扱うことができず、これらの事件についての示談書の作成やその作成のための相談を行うことはできません。

ウ 「慰謝料等の支払を求める調停申立書等・損害賠償請求訴訟における訴状等の作成/その作成のための相談」に関する弁護士と司法書士との違い

 【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、不貞行為に及んだ第三者に対する慰謝料請求・婚約不履行や内縁の不当破棄を理由とする相手方に対する損害賠償請求・認知請求・内縁関係解消に伴う養育費や財産分与等の支払を求める事件のいずれについても、調停申立書等や訴状等の作成や、その作成のための相談のいずれも行うことができ、その権限についての制限もありません。

 認定司法書士でない一般の【司法書士】は、不貞行為に及んだ第三者に対する慰謝料請求・婚約不履行や内縁の不当破棄を理由とする相手方に対する損害賠償請求・内縁関係解消に伴う養育費や財産分与等の支払を求める事件の調停申立書等・訴状等の作成や、その作成のための相談のいずれについても行うことができます。
 しかし、認定司法書士でない一般の【司法書士】は、調停申立書等・訴状等の作成やその作成のための相談に関して、依頼の趣旨に沿って、どのような種類の書類を作成するか、書類にはどのような事項を記入するかといった事項についての作成やその作成のための相談ができるだけで、高度な法律的な判断が含まれる書類の作成やその作成のための相談を行うことはできません。
 能力担保研修を経て簡裁訴訟代理権等を付与された【認定司法書士】は、請求金額が140万円以下の不貞行為に及んだ第三者に対する慰謝料請求・婚約不履行や内縁の不当破棄を理由とする相手方に対する損害賠償請求等の支払を求める事件においては、高度な法律的判断が含まれる申立書等・訴状等の作成や、その作成のための相談を行うことができます。
 もっとも、【認定司法書士】であっても、取り扱うことができるのは、「簡易裁判所における民事訴訟法の規定による訴訟手続の対象となるもの」に限られることから、認知請求・内縁関係解消に伴う養育費や財産分与等の支払といった家庭裁判所で取り扱われる事件については取り扱うことができず、これらの事件については、高度な法律的な判断が含まれる調停申立書等・訴状等の作成やその作成のための相談を行うことはできません。

エ 「慰謝料等の請求に関する相手方との交渉代理/その交渉のための相談」に関する弁護士と司法書士との違い

 【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、不貞行為に及んだ第三者に対する慰謝料請求・婚約不履行や内縁の不当破棄を理由とする相手方に対する損害賠償請求・認知請求・内縁関係解消に伴う養育費や財産分与等の支払を求める事件のいずれについても、相手方との交渉や、その交渉のための相談のいずれも行うことができ、その権限についての制限もありません。

 認定司法書士でない一般の【司法書士】は、不貞行為に及んだ第三者に対する慰謝料請求・婚約不履行や内縁の不当破棄を理由とする相手方に対する損害賠償請求・内縁関係解消に伴う養育費や財産分与等の支払を求める事件に関する相手方と交渉や、その交渉のための相談を行うことはできません。
 能力担保研修を経て簡裁訴訟代理権等を付与された【認定司法書士】は、請求金額が140万円以下の不貞行為に及んだ第三者に対する慰謝料請求・婚約不履行や内縁の不当破棄を理由とする相手方に対する損害賠償請求等の支払を求める事件については、相手方との交渉や、その交渉のための相談を行うことができます。
 もっとも、【認定司法書士】であっても、取り扱うことができるのは、「簡易裁判所における民事訴訟法の規定による訴訟手続の対象となるもの」に限られることから、認知請求・内縁関係解消に伴う養育費や財産分与等の支払といった家庭裁判所で取り扱われる事件については取り扱うことができず、これらの事件については、相手方との交渉やその交渉のための相談を行うことはできません。

オ 「慰謝料等の支払を求める調停や損害賠償請求訴訟における代理/その活動のための相談」に関する弁護士と司法書士との違い

 【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、不貞行為に及んだ第三者に対する慰謝料請求・婚約不履行や内縁の不当破棄を理由とする相手方に対する損害賠償請求・認知請求・内縁関係解消に伴う養育費や財産分与等の支払を求める事件のいずれについても、一方当事者の代理人として調停や弁論の期日に出頭するなどの活動ができ、その権限についての制限もありません。
 もちろん、【弁護士】は、その活動のための相談を行うこともでき、その権限についての制限もありません。

 認定司法書士でない一般の【司法書士】は、不貞行為に及んだ第三者に対する慰謝料請求・婚約不履行や内縁の不当破棄を理由とする相手方に対する損害賠償請求・内縁関係解消に伴う養育費や財産分与等の支払を求める事件については、一方当事者の代理人として活動したり、その活動のために相談を行ったりすることはできません。
 能力担保研修を経て簡裁訴訟代理権等を付与された【認定司法書士】は、請求金額が140万円以下の不貞行為に及んだ第三者に対する慰謝料請求(離婚等請求訴訟の一部として家庭裁判所に係属する場合を除く。)・婚約不履行や内縁の不当破棄を理由とする相手方に対する損害賠償請求等の支払を求める事件については、一方当事者の代理人として調停や弁論の期日に出頭することができます。
 もっとも、【認定司法書士】であっても、事案が複雑であるといった理由で簡易裁判所に係属する訴訟が地方裁判所に移送されたり、簡易裁判所における判決について控訴されたりした場合には、それ以上関与することができません。
 また、【認定司法書士】であっても、取り扱うことができるのは、「簡易裁判所における民事訴訟法の規定による訴訟手続の対象となるもの」に限られることから、認知請求・内縁関係解消に伴う養育費や財産分与等の支払といった家庭裁判所で取り扱われる事件については取り扱うことができず、これらの事件については、一方当事者の代理人として活動したり、その活動のための相談を行ったりすることはできません。

このページの先頭へ

 

(5)遺言・相続分野に関する弁護士と司法書士との違い

ア 「遺言書の作成のための相談」に関する弁護士と司法書士との違い

 【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、遺言書の作成のための相談を行うことができ、その権限についての制限もありません。

 【司法書士】は、相続登記手続の場面における「法務局又は地方法務局に提出し、又は提出する書類」の附属書類としてであれば遺言書の作成のための相談が可能であるという見解がみられます。
 しかし、【司法書士】は、それ以外の場面では遺言書作成のための相談を行うことはできません。
 また、【司法書士】は、遺言書の作成のための相談に関して、依頼の趣旨に沿って、どのような種類の書類を作成するか、書類にはどのような事項を記入するかといった事項についての作成やその作成のための相談ができるだけで、高度な法律的な判断が含まれる遺言書の作成のための相談を行うことはできません。

イ 「遺産分割協議書の作成/その作成のための相談」に関する弁護士と司法書士との違い

 【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、遺産分割協議書の作成やその作成のための相談のいずれについても行うことができ、その権限についての制限もありません。

 【司法書士】は、相続登記手続の場面における「法務局又は地方法務局に提出し、又は提出する書類」の附属書類としてであれば遺産分割協議書を作成可能であり、その作成のための相談も可能であるという見解がみられます。
 しかし、【司法書士】は、それ以外の場面では遺産分割協議書を作成したり、その作成のための相談を行ったりすることはできません。
 また、【司法書士】は、遺産分割協議書の作成やその作成のための相談に関して、依頼の趣旨に沿って、どのような種類の書類を作成するか、書類にはどのような事項を記入するかといった事項についての作成やその作成のための相談ができるだけで、高度な法律的な判断が含まれる遺産分割協議書の作成やその作成のための相談を行うことはできません。

 遺産分割協議書は、すべての相続人が遺産の分割の内容について合意した事項について記載する書面ですので、その作成により遺産分割協議を完了させ、後日の紛争を防止する役割が期待されています。
 相続登記手続を行う場合以外にも遺産分割協議書を作成する必要が生ずることは多々ありますが、それらの場面において遺産分割協議書を作成する権限が【弁護士】にはありますが、【司法書士】にはありません。
 また、遺産分割協議書の作成にあたっては、その記載が不適切であるが故に後に生ずる紛争を取り扱っている専門家が、その経験を踏まえつつ、そのような紛争が後に生ずることのないよう、高度な法律的な判断に基づいて適切なアドバイスを行う必要があります。
 このような高度な法律的な判断に基づく適切なアドバイスを行うことができる権限が【弁護士】にはありますが、【司法書士】にはありません。
 さらに、遺産分割協議書は、すべての相続人が遺産の分割の内容について合意してはじめて作成されるもので、通常はその作成に先立って、他の相続人との交渉が不可欠です。
 その交渉を行う権限が【弁護士】にはありますが、【司法書士】にはありません。

ウ 「遺産分割調停申立書等の作成/その作成のための相談」に関する弁護士と司法書士との違い

 【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、遺産分割調停申立書等の裁判所提出書類の作成やその作成のための相談のいずれについても行うことができ、その権限についての制限もありません。

 【司法書士】は、遺産分割調停申立書等の裁判所提出書類の作成やその作成のための相談のいずれについても行うことができます。
 しかし、【司法書士】は、遺産分割調停申立書等の裁判所提出書類の作成やその作成のための相談に関して、依頼の趣旨に沿って、どのような種類の書類を作成するか、書類にはどのような事項を記入するかといった事項についての作成やその作成のための相談ができるだけで、高度な法律的な判断が含まれる遺産分割調停申立書等の裁判所提出書類の作成やその作成のための相談を行うことはできません。

 遺産分割調停申立書等の裁判所提出書類は、裁判所において紛争を解決するだけの土台となる、遺産分割調停や審判について代理人として関与した経験に基づく、高度な法律的な判断に基づいた書面や証拠の作成が求められます。
 このような高度な法律的な判断に基づく適切な書面や証拠の作成やその作成のための相談を行うことができる権限が【弁護士】にはありますが、【司法書士】にはありません。

エ 「遺産分割・遺留分減殺請求における他の相続人との交渉代理/その交渉のための相談」に関する弁護士と司法書士との違い

 【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、遺産分割・遺留分減殺請求のいずれの場面においても相続人の代理人として他の相続人との交渉を行うことができ、その権限についての制限もありません。
 もちろん、【弁護士】は、遺産分割・遺留分減殺請求のいずれの場面においても他の相続人との交渉のための相談を行うこともでき、その相談内容についての制限もありません。

 能力担保研修を経て簡裁訴訟代理権等を付与された【認定司法書士】は、請求金額が140万円以下の遺留分減殺請求を行う場面に限り、他の相続人との交渉や、その交渉のための相談を行うことができます。
 しかし、【司法書士】は、請求金額が140万円を超える遺留分減殺請求を行う場面や遺産分割の場面においては、相続人の代理人として他の相続人との交渉を行うことはできませんし、その交渉のための相談を行うこともできません。
 また、認定司法書士でない一般の【司法書士】は、請求金額が140万円以下の遺留分減殺請求を行う場面においても、他の相続人との交渉や、その交渉のための相談を行うことができません。

オ 「遺産分割調停や審判・遺留分減殺請求調停における代理/その活動のための相談」に関する弁護士と司法書士との違い

 【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、遺産分割において一方当事者の代理人として遺産分割調停や審判期日に出頭して活動したり、その活動のための相談を行ったりすることができ、その権限についての制限もありません。

 【司法書士】は、遺産分割調停や審判・遺留分減殺請求調停において、一方当事者の代理人として活動したり、その代理人として活動するための相談を行ったりすることはできません。

カ 「遺産範囲確認請求・遺言無効確認請求・遺留分減殺請求等の訴訟における代理/その活動のための相談」に関する弁護士と司法書士との違い

 【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、遺産分割に先立って解決しなければならない遺産の範囲の確認を求める訴訟や遺言が無効であることの確認を求める訴訟・遺留分減殺請求訴訟等の訴訟手続において、一方当事者の代理人として活動したり、その活動のための相談を行ったりすることができ、その権限についての制限もありません。

 能力担保研修を経て簡裁訴訟代理権等を付与された【認定司法書士】は、請求金額が140万円以下で、かつ簡易裁判所に事件が係属する場合の遺留分減殺請求訴訟の場面に限り、一方当事者の代理人として活動したり、その活動のための相談を行ったりすることができます。
 しかし、【認定司法書士】であっても、事案が複雑であるといった理由で簡易裁判所に係属する訴訟が地方裁判所に移送されたり、簡易裁判所における判決について控訴されたりした場合には、それ以上関与することができません。
 また、【司法書士】は、遺産範囲確認請求・遺言無効確認請求のように地方裁判所に係属する訴訟については、遺産分割調停申立書等の裁判所提出書類の作成やその作成のための相談に関して、依頼の趣旨に沿って、どのような種類の書類を作成するか、書類にはどのような事項を記入するかといった事項についての作成やその作成のための相談ができるだけで、一方当事者の代理人として活動したり、その活動のための相談を行ったりすることはできません。
 さらに、認定司法書士でない一般の【司法書士】は、請求金額が140万円以下で、かつ簡易裁判所に事件が係属する場合の遺留分減殺請求を行う場面においても、一方当事者の代理人として活動したり、その活動のための相談を行ったりすることはできません。

このページの先頭へ

 

(6)債務整理分野に関する弁護士と他士業との違い

ア 「自己破産・個人再生申立て/その申立てのための相談」に関する弁護士と司法書士との違い

 「自己破産」とは、債務者自らが支払不能であることを理由として債務を支払う責任を免れるために裁判所を利用する手続です。
 「個人再生」とは、住宅等の財産を維持しつつ債務を減額してもらうために裁判所を利用する手続です。

 【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、自己破産や個人再生について代理人として関与することや、その申立てのための相談を行うことができ、その権限についての制限もありません。

 【司法書士】は、自己破産・個人再生申立てのうち、自己破産申立書や個人再生申立書を作成することができます。
 もっとも、【司法書士】は、自己破産申立書や個人再生申立書の作成やその作成のための相談に関して、依頼の趣旨に沿って、どのような種類の書類を作成するか、書類にはどのような事項を記入するかといった事項についての作成やその作成のための相談ができるだけで、高度な法律的な判断が含まれる申立書の作成やその作成のための相談を行うことはできません。
 また、【司法書士】は、申立書を作成するだけで「代理人」ではないことから、破産審尋期日・免責審尋期日・債権者集会期日等に依頼者と同席することは許されていません。
 さらに、【弁護士】による「代理人申立て」とは異なり、【司法書士】が自己破産申立書や個人再生申立書を作成した場合には「本人申立て」として扱われることから、以下の点で【弁護士】による「代理人申立て」とは異なる取扱いがされています。

① 自己破産申立ての場合

(a)東京地方裁判所に対する自己破産申立てについては通常管財事件として扱われ(手続が簡単な同時廃止事件として扱ってもらえない)、高額な予納金を用意する必要が生じます。

(b)横浜地方裁判所及びその管内の支部(川崎・小田原・横須賀・相模原)に対する申立てにおいて管財事件となる場合には、「代理人申立て」よりも高額な予納金を用意する必要が生じます。

② 個人再生申立ての場合

 横浜地方裁判所及びその管内の支部に対する申立てにおいては、「代理人選任申立て」の際には選任されることがほとんどない再生委員の選任がなされることとなり、再生委員選任のための予納金(18万円)を用意する必要が生じます。

イ 「任意整理/任意整理のための相談」に関する弁護士と司法書士との違い

 「任意整理」とは、裁判所が関与することなく、債権者との間で交渉し債務の減額や支払期間の延長をはかる手続です。

 【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、任意整理やそのための相談を行うことができ、その権限についての制限もありません。

 認定司法書士でない一般の【司法書士】は、任意整理やそのための相談を行う権限を認める根拠となる規定がないので、これらを行うことはできません。
 能力担保研修を経て簡裁訴訟代理権等を付与された【認定司法書士】は、債権額が140万円以下のものについての任意整理やそのための相談を行うことができます。
 もっとも、任意整理に際して貸金業者等から債務者に対し訴訟を提起されることも数多くありますが、【認定司法書士】であっても、事案が複雑であるといった理由で簡易裁判所に係属する訴訟が地方裁判所に移送されたり、簡易裁判所における判決について控訴されたりした場合には、それ以上関与することができません。

ウ 「過払金回収/過払金回収のための相談」に関する弁護士と司法書士との違い

 「過払金回収」とは、利息制限法の制限利率を超えて支払った利息を元本に充当した後も余剰がある場合に、その余剰金員の返還を求めるものです。

 【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、過払金回収やその回収のための相談のいずれについても行うことができ、その権限についての制限もありません。

 認定司法書士でない一般の【司法書士】は、過払金回収やそのための相談を行う権限を認める根拠となる規定がないので、これらを行うことはできません。
 能力担保研修を経て簡裁訴訟代理権等を付与された【認定司法書士】は、請求額が140万円以下のものについての過払金回収やそのための相談を行うことができます。
 もっとも、過払金回収に際しては貸金業者等との間の任意交渉だけでは十分な回収ができず訴訟提起をして解決をはかる必要があることが多くなっておりますが、【認定司法書士】であっても、事案が複雑であるといった理由で簡易裁判所に係属する訴訟が地方裁判所に移送されたり、簡易裁判所における判決について控訴されたりした場合には、それ以上関与することができません。

このページの先頭へ

 

(7)交通事故分野に関する弁護士と司法書士との違い

ア 「自賠責保険金の請求/その請求のための相談」に関する弁護士と司法書士との違い

 【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、自賠責保険金請求やその請求のための相談のいずれについても行うことができ、その権限についての制限もありません。

 認定司法書士でない一般の【司法書士】は、自賠責保険金請求にかかる請求書の作成やその請求のための相談を行う権限を認める根拠となる規定がないので、これらを行うことはできません。
 能力担保研修を経て簡裁訴訟代理権等を付与された【認定司法書士】は、請求金額が140万円以下の自賠責保険金請求やその請求のための相談を行うことができます。

イ 「任意保険会社その他に対する損害賠償請求についての交渉代理/その交渉のための相談」に関する弁護士と司法書士との違い

 【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、相手方(加害者ないし被害者)や相手方が加入する任意保険会社の担当者と、直接、依頼者の代理人として、損害賠償請求についての交渉を行うことができ、その権限についての制限もありません。
 もちろん、【弁護士】は、損害賠償請求についての交渉のための相談を行うこともでき、その相談内容についての制限もありません。

 認定司法書士でない一般の【司法書士】は、損害賠償請求についての交渉やそのための相談を行うことはできません。
 能力担保研修を経て簡裁訴訟代理権等を付与された【認定司法書士】は、請求金額が140万円以下の損害賠償請求についての交渉やそのための相談を行うことができます。

ウ 「加害者に対する損害賠償請求訴訟における代理/その活動のための相談」に関する弁護士と司法書士との違い

 【弁護士】は、法律事務全般を取り扱うことができますので、一方当事者の代理人として、加害者に対する損害賠償請求訴訟の提起や訴訟期日に出頭するなど訴訟活動全般を行うことができ、その権限についての制限もありません。
 もちろん、【弁護士】は、損害賠償請求訴訟のための相談を行うこともでき、その相談内容についての制限もありません。

 認定司法書士でない一般の【司法書士】は、損害賠償請求訴訟における代理やその活動のための相談を行うことはできません。
 能力担保研修を経て簡裁訴訟代理権等を付与された【認定司法書士】は、簡易裁判所における請求金額が140万円以下の損害賠償請求訴訟における代理やその活動のための相談を行うことができます。
 しかし、【認定司法書士】であっても、事案が複雑であるといった理由で簡易裁判所に係属する訴訟が地方裁判所に移送されたり、簡易裁判所における判決について控訴されたりした場合には、それ以上関与することができません。

このページの先頭へ

 
 
 
本文ここまで。