子どもの権利委員会委員 山根 大輔 |
5月21日、NPO法人子どもセンター「てんぽ」主催で、「子どもが語る“シェルターと私”」と題するシンポジウムが開催された。
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「てんぽ」は、虐待等の理由により帰る場所を失った子ども達のためのシェルターである。
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シンポジウムは(1)「てんぽ」の活動報告(2)「てんぽ」利用経験のある子どもの話を収録したDVDの上映(3)パネルディスカッションという三部構成で開かれた。
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パネルディスカッションでは、子どもの支援や今後のシェルターのあり方等について議論が交わされた。その中で、シェルターの利用期間に制限があるため(原則として2か月程度)、早すぎる自立に苦しむ子ども達が多いという現状について問題提起がなされていた。
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また、私が強い印象を受けたのは、子ども達の生の言葉である。「てんぽ」入所を決意した理由を聞かれ、声を詰まらせ、涙を流していた子どもの声にならない言葉が強く心に残った。
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その他、参加者を対象としたアンケート結果では、子ども達が「てんぽでは、みんなでご飯を一緒に食べることが一番楽しかった」と話していることに衝撃を受けた方が多かったようだ。
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私が「子担」(子ども担当弁護士)に登録しているのは、山田洋次監督の映画の影響によるところが大きい。勝手な解釈かもしれないが、山田監督は、映画「男はつらいよ」、「学校」シリーズ等の中で、絶えず「幸せな家庭」像を追求しているように思われる。「てんぽ」を利用せざるを得ない子ども達は、家族みんなでご飯を一緒に食べるということすらままならないことが多く、「幸せな家庭」を心から欲している。
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「幸せな家庭」に育ててもらった一人の大人として、子ども達のほんの一助になれれば。今回のシンポジウムを機にそのような思いが一層強くなった。
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