6月4日、毎年恒例の「子どもの日記念事業」として集会が開催された。集会ではによる改正法案の問題点の解説と横浜市北部児童相談所の松橋秀之所長による講演が行われた。 |
ショッキングなタイトルが示すとおり、現在進められている少年法等の改正作業では、以下のような内容を盛り込むことが検討されている。 |
(1) |
14歳未満の少年の少年院送致を可能にすること |
(2) |
触法少年・ぐ犯少年について警察の調査権限等を認めること |
(3) |
保護観察中に遵守事項に違反した少年を少年院等に送致することができること |
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少年法等の改正については、本年3月17日付で日弁連が詳細な意見書を提出しており、今回の集会はそうした動きを受けての開催であった。 |
《改正法案の問題点》 |
集会では、まず、が、日弁連の意見書に沿って、改正法案の問題点を解説した。は、これまで多くの少年事件を扱ってきた経験から(1)警察の調査権限を認めることが少年事件の捜査に与える影響への懸念(2)それが触法少年のみならずぐ犯少年にまで認められることで多くの少年が対象に取り込まれていく危険(3)更には比較的軽微な犯罪で保護観察となった少年が遵守事項違反をしたために少年院送致となってしまうことの不公平さ、等について解説を行った。 |
の解説は、簡潔ながらポイントをついており、今回の法改正の内容に対する危機感を持つに充分な内容であった。 |
《良い大人との出会いで子どもは変わっていける》 |
続いて、松橋氏から「児童自立支援施設における非行・触法少年への対応」と題する講演が行われた。松橋氏は、長年に亘り、児童相談所や児童自立支援施設その他の施設で多くの少年の事例に関わってきた。その豊富な経験と話の端々から感じられる暖かな人柄から、松橋氏の講演は、生の少年達の様子を生き生きと伝えるものであった。 |
例えば、児童相談所時代に、家庭訪問をしてもなかなか会ってもらえない少年に対し、辛抱強く接触を続けた結果、少年がふと心を開いた瞬間の様子や、児童自立支援施設に入所している少年達が、誰かを抱きしめ、抱きしめられること、つまりは愛し愛されることにいかに飢えているのか…まさに現場に関わってきた人のみが知る少年達の姿であった。 |
最近、子を虐待する親は自分も虐待を受けた経験があるということがよく語られている。松橋氏は、その連鎖を断ち切らなくてはいけない、そうでなければ、被虐待児は子を虐待すると言っているのと同じだ、と語った。最後に、良い大人との出会いで子どもは変わっていけるのだ、という希望に満ちた締めくくりで講演は幕を閉じた。 |
最後まで飽きさせない人間味にあふれた話は参加者にも大変好評であった。 |
☆ ☆ ☆ |
当日は、テーマに対する世間の関心の高さを反映してか、会の内外から約60名が参加した。 |
松橋氏の講演からも窺えるように、少年達に必要なのは、監視し、威嚇し、閉じ込めることではない。少年達に関わる大人達が彼らにしっかり向かい合うこと、彼らの可能性を信じて心を通わせていくことこそが大切なのだ、ということを実感した一日であった。 |
(子どもの権利委員会委員 本間 春代) |
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少年法等の改正案に関しては、6月13日付で「少年法等の改正に反対する会長声明」が出されている。詳細は横浜弁護士会ホームページをご覧いただきたい。 |