横浜弁護士会新聞

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2005年12月号(1)

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弁護士フェスタin KANAGAWA 考えてみよう、憲法 10.2 開港記念会館

特別講演 共に生きる21世紀「非戦の遺伝子」をきちんと伝達すべし
 「3年B組・金八先生」等の脚本で知られる日本シナリオ作家協会理事の小山内美江子氏を講師として、標記のテーマで特別講演が行われた。
 冒頭で小山内氏は、5つ以上の「9条の会」と名の付く会に加入しており、今後も「9条の会」が増えることは大賛成との意見を表明した。そして、江戸時代300年の「非戦の遺伝子」をきちんと子孫に伝達すべきだというのが一貫した主張であり、以下のような数々の経験を語った。
 昭和20年の敗戦時、小山内氏は多感な15歳であったが、「これで殺されることはないんだ」と率直に感じたこと等の生々しい実体験を語った。また、相模原ノースピア戦車阻止闘争の際には、朝のニュースを見て、居ても立ってもいられずに、当時10歳の子息とアメを買って座り込みをしている人達の慰問に行ったことも披露された。
 さらに、ヨルダンの難民キャンプに行った際に、「日本は賢い」と言われ、イランでも同じことを言われた。その意味を尋ねると、「日本は憲法9条があるから戦争をしなくてよい。その分のパワーを経済へ振り向けることができるから」とのことであった。
 小山内氏は、NPO法人「JHP・学校をつくる会」の代表としての顔も持っており、特にカンボジアでは140校を作った実績がある。その活動の過程で、クロアチアのザグレブで学生同士の対話をした際、日本の学生は20歳前後であったのに対し、ザグレブの学生は26歳前後であった。なぜ年齢が高いのかと質問をしたところ、「徴兵制があるから」との答えであった。そして、徴兵では人を殺すことも含めて全ての軍事訓練を行っていることを知り、この時初めて日本の学生は自分達が享受している平和の尊さを認識することができた。
 小山内氏は、以上の数々の経験を踏まえて、憲法9条は米国からの押し付けではなく自らのものとして受容したのだから誇りに思うべきであると熱弁を振るい、平和の意味を考える好機となる講演であった。

コント もしも憲法がなかったら 焼肉すら食べられなくなる?
 弁護士フェスタのメインプログラムの一つとして、「もしも憲法がなかったら…」というコントが上演された。
 1幕ごとのショートコントの合計6幕という構成であった。内容を簡単に紹介すると、憲法がないという前提において、サッカー以外のスポーツをしてはいけない、肉を食べてはいけない、宗教活動をしてはいけない、結婚は親同士が決めることとする、損失補償を要せず私有地を強制的に収用することができる、国会議員の地位を世襲制にする、25歳以下の定職についていない若者を日本国軍へ徴兵できるという内容の法律が制定されたというものだった。脚本は劇団「蒼生樹」の濱田重行さんによるもので、俳優の西川大輔さん、佐藤昌樹、岡俊之、安富真人の各会員が熱演した。
 1幕終わるごとに太田啓子会員が解説を加え、憲法がなければ信じられない内容の法律に拘束されるが、現在は憲法があるため、たとえこのような法律が制定されたとしても拘束されないことを、憲法の条文を示しながら分かりやすく解説した。6幕の全てのコントでのキーワードは、「だって、法律ができちゃったんだから仕方ないじゃない」であった。
 会場は立見がでるほどの盛況ぶりで、西川さんをはじめ当会会員の熱の入ったコントに笑いが止むことはなく、1幕終わるごとに大きな拍手が湧きあがっていた。
 会場は立見がでるほどの盛況ぶりで、西川さんをはじめ当会会員の熱の入ったコントに笑いが止むことはなく、1幕終わるごとに大きな拍手が湧きあがっていた。
 国家の基本法である憲法がいかに重要であるかは、今更述べるまでもないが、これとコントとを結びつけるという斬新な発想に、会員の強い意気込みを感じた。とりわけ、憲法を一般の方々に説明するという企画は、とかく権威主義的になりがちだが、プロの脚本家を交えて作り込まれた今回の企画は、憲法の啓蒙活動にとどまらず、法教育の方向性を示すものといえるのではないだろうか。
 ところで、憲法がなくなると焼き肉すら食べられなくなるとは、このリアルな現実に皆さんは果たして耐えられますか?

第10回 人権賞授与 特定非営利活動法人 2団体が受賞
 記念すべき第10回人権賞は、「子ども虐待ネグレクト防止ネットワーク」、「多言語社会リソースかながわ」のNPO法人2団体が受賞した。
 「ネットワーク」は、平成13年5月に法人化し、子ども虐待・ネグレクトの防止と対応を普及・促進させるべく、カウンセリング、電話相談、児童相談所等の公的機関との連携等の活動を積極的に展開している。山田不二子代表の話によると、この分野では欧米より約20年遅れているため、昨年からは国際シンポジウムを開催し、最近では予防活動(例えば、揺さぶられっ子症候群は教育次第で半分近くは予防できる)にも力を注いでいるとのことで、これまでの苦労を振り返ってか、話の途中で涙ぐむ一場面もあった。
 「リソースかながわ」は、外国籍住民の医療を受ける権利の確立と医療通訳派遣制度の構築を目指して、医療通訳の養成・派遣等の活動をしており、平成14年4月に法人化した。鶴田光子代表は、医療通訳の確保は、患者のみならずインフォームドコンセントの観点から医療機関にとっても責務であるという視点を持つことが大事であると熱心に説かれた。その一方で、深刻な財政危機に陥っている苦境を吐露されていたのが印象的であった。

山ゆり
 怪我をした
台風の夜だった。やっとの思いで帰宅をし、食事をしようと冷蔵庫を覗き込むと、ハムがもの悲しげに鎮座していた。お盆に帰省した際母親から押し付けられた土産物の残りである。嫌な予感がした。しかし、仕方がない。ハムで間に合わせようと調理を開始したところ、このハムの塊は凧糸が巻かれていたため、包丁でもなかなか切れない。空腹の鬼となっていた私は、しばらくハムと格闘した後、えいやとばかり包丁をその物に差し入れた。「ぐさり」
刺さったのはお目当てのハムではなく、左手の指だった。溢れ出る血液。しまったと思ったが、後の祭りである
とりあえず応急処置をと思い、止血の努力をしたが止まる気配がない。そこで自宅近くの救急病院へ行ったところ、医者からは全治2週間と言われ、3針縫われた後、左手指から手首まで全体に包帯を巻かれることと相成った。見た目、重傷である。その後、どこに行っても怪訝な目で見られること2週間、ようやく包帯からは解放されたが、痛みは残り傷口も生々しかった。図らずも、「全治2週間」の被害の実情を身をもって体験した次第である
後日談だが、その夜、私の他に似た患者(但しいずれも高校生)が3人いたとのこと。とりあえず、仲間、である
そしてその後のハム君の運命だが、病院から帰宅後無事私の胃の中に収まった。味は?それは秘密です。
(山本 和代)

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