鈴木 敏之(広島高裁部総括判事) |
グランドスラム(制覇)を目指す宮代洋一横浜弁護士会テニスクラブ会長の夢は実現しつつある。3年前にはウインブルドン行きを実現させてもいる。同行を願っていた私の夢は、突然の異動等で潰えた。今回のローランギャロス行きを何としても実現させたかった所以である。 |
同クラブには、横浜地裁に赴任した平成6年に小林雅信会員からお誘いを受けて以来お世話になっている。開放的で、包容力があって活気のあるクラブである。 |
5月27日から6月2日までのうち2日間を全仏テニス観戦に充てた。ローランギャロスは、パリの西にある大きな森、ブローニュの森の南端に位置する。地下鉄駅から吐き出された人の波に乗って会場へと向かう。入り口付近は大変な混雑であり、どのように入場するのか、皆目検討がつかない。日本なら、混雑解消等のために案内板を立てるなどの方策があるのに、全くの放任状態である。自由の国フランスでは組織だったことは極めて少ない、との記事を読んだことを思い起こした。 |
センターコート。アンツーカーの見事な赤土。審判員も係員もコートの色に合わせて全員が赤の半袖シャツ。快晴の下、抑揚を適度につけて選手を紹介する名調子のアナウンスと登場する選手への拍手、歓声、声援(「アレー」など)がブローニュの森にこだまして心地よい。 |
初日では、午後5時前に開始された、マラト・サフィンの3回戦は希に見る熱戦であった。サフィンがハンサムのせいもあったらしいが、終始熱い声援が絶えず、正に手に汗握る好ゲームとなった。凡ミスが極めて少なく質の高い接戦となったが、同選手がフルセットの末、僅少差で逆転勝利を収めた(5時間近い熱戦)。 |
2日目は、ダブルスを中心に観戦した。ペアー同士の呼吸、励まし合い等にきめ細かさを感じた。ナブラチロワの腕の逞しさ、浅越しのぶのセリーナ・ウィリアムスに立ち向かう意気込みにも感心した。 |
22名が参加した今回の旅行は、大勢の方々の心が通い楽しいものとなった。いつも夜の部で熱弁を振るわれるクラブの顧問格岡昭吉会員は、初日の懇親夕食会の前、「今夜は燃えるか」等と相変わらずの健在振りを示していた(今年はノルマンデイ上陸作戦から60年に当たり、フランスでは各種の行事が行われているが、同作戦をテーマとした名画「パリは燃えているか」に引っかけて水を向けたことへの当意即妙)。宮代団長(宿敵同士?似た帽子とシャツを共に購入。近いうちにそれらを着用しての戦いが見られるか?)及び同クラブに心からお礼を申し上げたい。 |