横浜弁護士会新聞

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20004年5月号(4)

 
俳句へのお誘い
内山辰雄 会員
春風や闘志いだきて丘に立つ 高浜虚子
北の街果てなく長し春の泥 中村汀女
夜の雲に噴煙うつる新樹かな 水原秋桜子
 いずれも私の好きなホトトギス派の著名俳人の句だ。
 敢えて冒頭に掲げた趣旨は、失礼ながらこのような句であれば平易で素直であるだけに、誰でも簡単に作れそうだと錯覚してしまう、この錯覚こそ俳句への近道であり、世界で最短の詩である俳句の魅力・特質でもあるということを強調したかったからである。
 五・七・五の定型、季語、切れ字が俳句の三要素であるが、三要素の全部または一部を無視する俳人も一派を成しており、何も難しく考えることはない。
 俳句の魅力は豊かな自然と触れ合うこと、紙と筆記用具さえあれば義務教育程度の語彙で気軽に作れること、俳句は座の文芸であるから時には吟行などしながら句友と楽しく語り合えること、総じて精神の清涼剤としてリフレッシュできることであろうか。
 ともあれ、昭和四十七年平川巴・大類武雄先生などが中心になって立ち上げた伝統ある横浜法曹句会は、参加者不足により平成十三年以来休会となっており、早目に復活させたいと念願している。かつて平川先生が主宰していた俳句結社「ゆく春」の句歴豊富な現主宰からご指導を頂くことが出来ますので、参加希望者は小職宛ご一報下さい。
 最後に、
辛夷の芽風の意のまま膨らみて 内山眠龍

新人弁護士奮闘記 第55期 本多麻紀
ある否認事件の国選弁護
 昨年10月、私はあるアメリカ人の国選弁護人となった。英語が好きだという理由で引き受けたものの、接見に行って初めて強姦致傷をはじめとする5罪すべてにつき無罪を主張していることを知った。私一人では無理だ…。困った時は刑弁センターへ。金子泰輔先生に頼み込んで共同弁護人となっていただいた。
 メインの強姦致傷事件は、近所に住む「被害者」Aが被告人宅を訪問中に起こった。ある休日、金子先生と一緒に現場を視察した。Aの自宅は被告人宅と思った以上に近いことが分かった。なぜAは3日間も被告人宅に滞在し続けたのだろう。
 被告人のルームメイトから何度も話を聞いた。被告人の言うとおり、Aは望んで被告人宅に滞在したという。ルームメイトから事件当日撮影されたビデオテープを渡された。確かにAが嫌がっているようには見えなかった。Aは被告人が外出中も被告人宅に留まり、被告人に電話をしてきたという。被告人の携帯電話を宅下げしたところ、確かにAからの着信履歴が記録されていた。
 昨年12月、Aの証人尋問が行われた。尋問は長時間に及び、次の日まで延長された。金子先生は一切疲れを見せず、鋭い反対尋問でAを追及してくださった。被告人の無実を確信した。
 今年3月、判決が下された。結果は有罪。Aの証言には証拠と矛盾する部分があるが全体としては信用できるとのことで、弁護人としては大変残念な結果だった。控訴審での勝利を心から願っている。

私の修習日記
潜在能力の開花時期は?
第57期司法修習生 横山宗祐
 テニス三昧であった前期修習を反省し、実務修習では修習に一生懸命取り組もうと心に誓ったものでした。しかし現実には、東西対抗のテニス大会や横浜法曹テニス部の合宿に参加するなど、心を入れ替えたとは到底言えない有様です。今年に入ってからは休日の練習に備えて、定時に事務所をあがらせていただき体調を整えています。
 僕の修習態度を間近でご覧になっていらっしゃる船橋先生には半ば飽きられているようです。ゲストとして招かれた58期司法修習予定者に対する事前研修の席で僕が就職先の事務所を選んだ理由を質問された際、「イソ弁の時は修行をしたいので、厳しい事務所で働きたいと思いまして」と答えたところ、船橋先生から「いつも5時には帰っているだろ」と言われてしまいました。
 そのような堕落した修習態度は弁護修習に始まったものではなく、刑裁修習の配属先でも「最近の修習生は資料ばっか集めて、資料収集生だな」と嘆かれていました。
 しかも、一旦堕落し始めると加速度的にひどくなるのが世の常なのでしょうか?最近では資料収集生ならぬ自称違法修習生として堕落した毎日を過ごしています。弁護修習2日目にして腹痛で修習を欠席したのを皮切りに、2月上旬は風邪をこじらせ、法律相談では依頼者の相談をうつろな眼差しで聞き、咳で依頼者の話の腰を折りまくり、資料の収集もままなりません。これ以上体調を壊して「自称」の二文字が消えないよう修習に励みたいと思います。
 何時になったら前期の民弁教官に言われた「やればできるのに」という僕の潜在能力は開花するのでしょうか…。
 もう桜の季節も過ぎ、そろそろ法曹テニスの東西対抗のランキング戦が始まる頃です。皆様にテニスコートでお会いできることを楽しみにしています。
(指導担当 船橋俊司 会員)

編集後記
 金はかかるし、ごろごろしていて家人の金切声、そろそろ金柑頭になろう頃、毎年同じ修羅の週、ゴールデンウィークは楽しけれ。
デスク 栗田誠之 1面担当 栗田誠之 2面担当 浦田修志
3面担当 久保義人 4面担当 山田一誠

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