横浜弁護士会新聞

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2002年8月号(4)

 
会員 栗田 誠之
会員 栗田 誠之
コンピュータグラフィック
手間は膨大でもそれが病みつき
 一〇年くらい前に、ひょんなことから、コンピュータと巡り合い、当時、MS・DOSなるオペレーションシステムで、簡単なプログラムを書いたり、出始めのウィンドウズに付いていたお絵かきソフトで絵などを描いて遊んでいました。
 六年くらい前に、奈良時代に書かれた法隆寺の仏画を見ていて、輪郭が均一の太さで描かれており、内部が色ごとに分解されて鮮やかに着色されていることに気づきました。そのとき、これは、ひょっとしたらコンピュータで描けるのではないかと思い、線画のソフトを買って挑戦してみました。
 この日本画の画法は、鉄線画法というそうですが、コンピュータで描く場合には、要は、細かな塗り絵を作ればよいということです。そのうち、次第に陰影のあるものを書きたくなり、そのために、陰影ごとにどんどんピースを細かくして行くようになりました。こうなると、もはや病的で、人の顔を見ても、色ごとに分解してみるようになり、鼻筋左側のピンク色の部分と小鼻の切れ込みの茶色の部分のバランスが絶妙だとか、鼻筋がとおっているだけに、中央のホワイトの線に揺らぎがないとか、美人もジグソーパズルのように見えるようになってしまいました。
 現在一枚の絵を仕上げるのに、人物で三〇〇〇から四〇〇〇のピースを使いますが、一種の職人芸のようなもので、絵画というよりクラフトと呼んだ方が正しいかもしれません。一時3D画像にも凝ったことがありますが、やはり、2Dでピースに分解して行く面白さには負けます。
 コンピュータだと、場所もとりませんし、絵の具の臭いもありません。最初のソフトの投資はありますが、コンピュータが持っているパレットの色数も六万色あり、キャンバスや絵の具の買い替えも必要ありません。私のような、アトリエもない貧乏人にはうってつけのホビーといえます。
 なお、美的感覚については、事務員さんに、かなり偏向しており、奇人のたぐいに入ると言われています。

弁護士会囲碁大会
 平成一四年春季弁護士会囲碁大会が六月一日土曜日弁護士会五階会議室で開催された。
 結果は次の通り、敬称略。 
Aクラス 優勝   植田薫     
準優勝   田子璋    
 三位   木村和夫 
Bクラス 優勝   奥山壽     
準優勝   松本幸男    
 三位   松下雄一郎 
 優勝者はともに全勝。
 Aクラスは、いつも混戦であるが、振り返ってみれば、初戦の田子VS植田戦が明暗を分けた事実上の決勝戦であった。植田会員は三位の木村会員にいつもカモられていたが、今回やっと一矢報いた。
 Bクラスは、やや成績に波があるが好調時にはムチャクチャ強く、比較的ハンデが軽い奥山会員が軽く優勝。今回、Bクラスの参加者が六名と少なかったことも幸いした。Bクラスは白熱した盤上が多かった。
 少年ジャンプ「ヒカルの碁」の連載がまた始まった。このマンガのおかげで子供たちの間で碁の人気がでていると言われている。確かに碁がかっこよく書かれている。「ヒカルの碁」の影響からか、最近、碁の打ち方を紹介する書籍がよくならんでいることは確かである。
 ところで、みなさんが囲碁をはじめるきっかけになったのは何だろうか?私の周りには親や兄弟から教わった人が多い。やはりもともとは二人用ゲームだから、身近に対戦相手がある方がおぼえやすいのだろうか。
 今はインターネットで対戦相手がみつかるそうである。パソコンが得意な方は武者修行に出てみたらどうだろうか。
(会員 植田薫)

私の修習日記
生き様をみた三ヵ月
第55期修習生 神林 周平
 弁護修習は最後の実務修習となったが、弁護修習の醍醐味は、何と言っても依頼人と直に、しかも長らく接するところであろうか。自然と思い入れも強くなっていく。
 刑事事件でこのようなことがあった。以前私は、懲役六年も七年も大して変わらないだろう、どうせ執行猶予なら猶予期間が一年くらい長くても同じくらいに思ってしまうこともあった(今考えると空恐ろしい)。
 しかし、いざ自分なりに頑張って弁論要旨を書いた被告人が猶予期間五年と言い渡されると、いっそ控訴したいと思うくらい悔しかった。もっとも、それは当事者の気持ちに少し近づいたということだろうか。
 先生方はどのようにして当事者の気持ちに近づいているのだろうか、そんな疑問を抱きつつ法律相談や接見に多く同席させていただき、気づいたのは先生はいつも法律知識は勿論のこと、その人が求めていたアドバイスを与えようとされていることである。
 一〇年間の結婚生活の末、離婚届を突きつけられ、子供を三人抱えて一文無しで放り出されながらもびくびくして何も言えなかった依頼者が叱咤され、励まされるうちに落ち着きと自信を取り戻していく。
 口角に泡をとばしながら捜査官に対する不平をぶちまける被疑者が、その言い分を十分話した上で叱りとばされ、頭を掻きながら「明日検事に本当のこと話します」と態度を変えていく。
 そんな姿を目の当たりにして、当事者の心に近づく術は、決して経験や知識だけではなく、依頼者・相談者に対する、その人が何を求めているかを汲む「思いやり」のような、もはや人間の生き様に関わるところにあるのではないかと思うようになった。
 法律知識は出発点に過ぎず、その上で今後その人が生きて行くには何が必要なのかを見極めようとする姿は、医師、時には生きる意志そのものを育もうとする本来の意味での医師にも似ていた。
 それにしても、馬車道法律事務所は本当に個性的な事務所で楽しい毎日であった。弁護士あたりの床面積が横浜一小さいと言われ、人には何かのアジトみたいなどと言われることもあった。そんなアジトみたいなところで毎日文字通り顔をつきあわせて仕事されていた先生方も皆さん個性派揃いで、そのまま「ナニワ金融道」あたりに出てきそうであった。
 そんな先生方は基本的には互いに無関心かと思いきや、時に事務所内で激論が交わされる。それでも常に裏表なく、本音で勝負されていた。
 そして、先生方は自分のしたい事件を自分のしたいように遂行し、自分の追求したいことを必死に追求する。まさに自分の送りたい人生を貪欲に送られている。
 こうして、必死に生きる人間の生き様を事務所内外で見た充実の三カ月はあっという間に過ぎ去ってしまった。
 先生方に実務家として再びお会いする日を楽しみにしつつ、またそのときは私も精一杯自分の生き様をお見せできるようになっていたい、そう心に誓いつつ実務修習を終える。
(指導担当 小野毅会員)

いろいろな相談にお応えします。
横浜弁護士会総合法律相談センター
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訃報
お悔やみ申し上げます
小林 勇 会員
平成一四年七月一二日ご逝去
享年七三歳
昭和四年三月二三日生
昭和四一年一二月二八日当会入会

編集後記
 ワールドカップも終わり、テレビを見る気力も失せている今日この頃です。
 祭りの後はさみしいものですね。
 聞くところによりますと、ワールドカップのために作ったサッカー場の維持費が、一施設当たり年間六億円かかるそうです。事を始めるのはよいことですが、無駄にならないようにすることも大切ですね。
デスク 栗田 誠之 一面担当 浦田 修志 二面担当 小沢 弘子
三面担当 阿部 雅彦 四面担当 喜多 英博

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