横浜弁護士会新聞

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2002年6月号(2)

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横浜家庭裁判所/小田原満知子新所長に聞く
裁判所と弁護士との協力を
ご出身はどちらでしょうか
 香川県の出身で、昭和四九年から横浜に住んでいます。出身地の高松高裁に一時在職していたのを除けば、東京高裁管内にずっと勤務してきております。
−裁判官を志望された動機をお聞かせください
 大学は法学部に入学しました。当時の東大の法学部と経済学部の定員の合計が八〇〇名ほどの中で、女性が三人のみという時代であり、企業に就職するのも困難でしたので、司法試験を受けました。
 修習の期は一七期ですが、あまり積極的に発言する性格ではないので、法曹三者のなかでも、黙々と記録を読んで判決を書くという裁判官の仕事が自分の性格に合うように思え、任官を選択しました。
−今まで印象に残った事件には、どのようなものがありますか
 横浜地裁に二度、川崎支部に一度勤務いたしました。横浜・川崎で印象に残った事件としては、訴訟関係者が多数であったために、事前の打合せが複雑であった川崎公害事件や、やはり訴訟関係者多数のために陪審法廷を使用した米軍機墜落事故事件があります。他には、鎌倉の土地の境界確定の事件の解決に苦慮したことが印象に残っています。
−家庭裁判所の今後についてお考えをお聞かせください
 これからの家裁は、人事訴訟の移管が近年に迫っていることから、家庭に関する問題を全体的に解決する機能が求められていくことになると思います。
−家裁の人員が少ないと言われていることについては、どのようにお考えでしょうか
 まず、国全体の予算の許す範囲で増やしていくしかないという限界があります。しかし、少年事件は、少年人口の減少によって全体の件数こそ減少傾向にありますが、負担の重い身柄事件は増加していますし、家事事件は増加傾向が続いております。これに加えて人事訴訟の移管もありますから、今後の家裁の人員も増員されるのではないかと期待しています。また、家裁調査官については、その専門性のために地裁等からの人員の配置換で対応することができませんし、成年後見制度が発足してから家裁調査官の役割がさらに重みを増していることもありますので、現在の漸増以上に増加させることが必要になってくるのではないかと思います。
−弁護士に対するご要望をお聞かせください
 例えば少年事件では、少年の処分を軽くすることよりも、少年の将来にとって最善の選択を考えるというように、訴訟事件と少々異なる家裁の事件特有の配慮をもって解決にあたるという姿勢を今後も続けていただきたいと思っています。
 また、遺産分割調停等において、法律的知識のある調停委員の需要が高いのですが、慢性的な欠員状態にあります。ですので、弁護士の皆さんには是非積極的に調停委員としてもご活躍いただきたいと思います。
 さらに、地元のつながりの深い弁護士の皆さんには、少年の補導委託先の開拓にもご協力していただければと考えています。
−弁護士任官については、どのようにお考えでしょうか
 弁護士任官は、熱意のある多様な人材が裁判所に入ってくるということ自体有意義ですが、特に弁護士の先生方が仲間の中でこのような人に裁判官になって欲しいと思われるような方に任官していただければ大変ありがたいと思いますので、そのような方に、積極的に任官していただけたらと思っています。
−最後に、会員に対するメッセージをお願いします
 横浜弁護士会には穏やかなイメージを抱いています。また、裁判所から本音でお願いして協力体制を作っていただけるという印象がありますので、ご協力をお願いします。
(聞き手 田中隆之、両角幸治)

新シリーズ 理事者室の窓
副会長 古川 武志
 「明日の常議員会、説明要員として行かなくていいのか」
 「えっ、連絡行ってませんか。月曜日の理事者会で、三時半に来ていただくって決めましたけど」
 危ない、危ない。皆で決めたのに、誰も連絡を実行していなかった。
 毎週、月曜日に会長、副会長が集まって開く理事者会、このときは、報告事項八件、確認事項二件、協議事項が三三件、この多数の案件を、会長が買って来た「都こんぶ」を齧りつつ議論したが、終わりの方は、頭の芯がボーッとした状態だった。
 単純ミスの医療過誤って、こういう状態でおこるんだよね、と変に納得して、これからは、反対尋問も少し優しくやろうか、とつまらない反省をした。
 こんな追い立てられるような毎日でも、池田会長にはなぜか余裕がある。ここで池田会長の一句、
春疾風大桟橋へ一直線
忠山
 我が会務も、一年間、一直線に進んで終了することを願うばかりである。

支部だより 川崎支部
支部会館建設の話
会員 田中 学武
 最近、法律相談センター川崎相談所のJR川崎駅付近への移転の話にともない、どうせなら支部事務局と川崎相談所が入れるような支部会館あるいは支部室のようなものができたらいいなぁという話がでてきている。ただし支部としての正式な検討事項にはなっていない。
 支部会館建設の動きは昭和四四年以前からでていたようだ。詳しくは当会会報五・六号の支部だより−川崎−、と三九号の支部今昔物語のところを読んでください。故平川会員と戸田会員が述べておられる。財政面がネックとなり実現しなかったようだ。
 川崎支部は平成一四年二月八日時点で会員数六〇名である。年一回の定時総会、年二〜三回の臨時総会、及び必要に応じて会員集会も開いている。また月一回の幹事会、法律扶助の受付、同審査もこなしている。このようなことを行う場としての支部会館あるいは支部室設置の必要性は高い。
 現在総合改革委員会で検討されている支部会規には、当会の予算に支部ごとの予算を計上するという条項がある。このままで支部会規が成立すれば支部会館設置の費用も当会全体の予算事項となり、財政的にも現実味をおびてくる。

私の新聞批評
前委員長から愛を込めて
会員 木村 良二
 昨年五月号から今年四月号まで一年分の横浜弁護士会新聞に関し、一読者として感じたことを率直に述べたい。
−シリーズものについて
 「私の独立した頃」は、いずれも興味深く楽しめた。往時の写真も一興である。
 「新人弁護士奮闘記」では、名前も顔もあまり知られていない若手が次々に登場し、体験を語る。失敗談など危うげでありながら、意欲と希望に燃えた言動はいかにも新鮮で頼もしい。
 これに比し、「私の修習日記」に登場する修習生達は「よい子」ばかりで、やや物足りない。指導担当への讃辞と謝辞を上手に折り込むことに気を遣いすぎていないか。原稿依頼の際に一言あってよいのではないだろうか。
 「私のホビー」と「ひと」はこの一年間で各二本、「論壇」は一本しか載らなかった。委員各位のアンテナをもっと広く、深く張り巡らして、思わずうなるような達人、変人、奇人を紹介して欲しい。
 とりわけ「論壇」は、会内・会外に向けて会員の多様な意見を発信する重要な場であり、編集委員会には多くの意見を汲み上げる努力を期待したい。
−スポーツものについて
 六月のウィンブルドン観戦記が翌年一月号に、また例年は四面の三庁ソフトボール大会が二面に載るなど、編集事情があるとは思うが、いささか奇異な観は否めない。
 それにしても、この一年、ゴルフのゴの字も載らない。井上雅彦会員が二年連続で神奈川アマ選手権の一次予選を突破したり、忘年ゴルフで永井会員がホールインワンを記録したり、「特種」に事欠かないのにこの冷遇は悲しい。
−写真の取扱いについて
 最近は表情が活き活きと表現されるようになり、大きな進歩である。全体写真に円内写真を重ねるなどの工夫(六月号三面、九月号四面、十月号二面)や、横長の写真の利用(一二月号二面、三月号四面等)など成功していると思う。ただ、三月号一面の会長の顔写真が副会長らと比べて小さかったのは気になった。むろん、副会長らの地顔や態度が大きいと言っているのではなく、全体のバランスの問題である。
 また、九月、一〇月号の二号にわたって裁判所の新庁舎を紹介した記事は、タイムリーでよい企画だったが、写真が若干わかりにくかった点残念である。
−「訂正とお詫び」について
 この一年間に三回「訂正とお詫び」がなされた。既にお詫びしているのに指摘するのも気がひけるが、この種のミスは読む方もつらいものである。最終校閲のさらなる徹底をお願いしたい。
−今後に期待するもの
 常議員議長選の速報(五月号二面)や日南公設事務所の速報(四月号二面)などは、とかく後追い記事に終始しがちな紙面に新鮮な味わいを添えてくれた。七月号の吉川晋平会員のインタビュー記事が楽しみである。
 このような予告的記事を充実させるためには、豊富かつ的確な会内情報が欠かせない。
 若手委員の感性を生かすことと理事者との情報交換を密にすることが肝要だと思う。

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