横浜弁護士会新聞

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2002年4月号(4)

 
新人弁護士奮戦記 第52期 三谷 淳会員
頼もしくなった?
 一昨年の四月に弁護士登録をしましたので、弁護士になって二年が経ちました。所属する吉川・金子法律事務所では、毎日、充実した日々を過ごしています。これも、事務所の二人の弁護士・職員を始めとした皆さんのおかげだと思っています。
 この二年間を振り返ってみると、弁護士の仕事には、実に様々な種類のものがあると思います。弁護士になるまでは、弁護士の仕事というと、訴状や申立書、準備書面等の起案や、法廷での弁論、証人尋問等がほとんどだと思っていました。しかし、実際に弁護士になってみると、そうした仕事も多いものの、各種の交渉事や、民事事件・刑事事件の被害者との示談など、裁判所とは直接関わり合いにならない仕事も多いことが分かります。
 特に、私が弁護士になった最初の年に、規模の大きな破産管財事件の破産管財人を吉川弁護士が務めることになり、私もその常置代理人として、破産管財業務の手伝いをすることとなりました。その結果、一時期、仕事の大半が、電話加入権や自動車をなるべく高く売ったり、リース物件を返したり、ごみを捨てたりといったことになりました。その一方で、示談や交渉の相手方からは、怒られたり脅かされたりしていましたので、当時は、ほぼ毎日冷や汗をかいていました。
 そうしたことで二年が経ち、最近は、時に、吉川弁護士から、(ゴルフ場でのことが多いため仕事のことかどうか甚だ疑問があるものの)「頼もしくなった」と褒められることもあります。「新人」という呼び名がいつ取り上げられるのか不安な毎日ですが、もう少しの間、仕事の不出来をご容赦頂き、様々な仕事に取り組んでいきたいと思います。

私の修習日記
弁護士の動力源
第55期修習生 松平 定之
 弁護修習を通じて、弁護士が最も力を発揮し得るのは、依頼者の怒りを共有できるときではないかと感じている。
 修習先の事件。ある特殊分野の期間雇用労働者(A)が、勤め先(B社)の責任者からB社内の他部門での次期の雇用が確実であるかのような話をされ、それを信頼して他社との契約交渉を打ち切ったところ、結局雇用しないとの一方的な通知がB社からなされ、信頼を裏切られたAは他社と契約することもできず一年を棒に振り、家族も苦しい生活を強いられた。私は、AのB社に対する怒りを共有できた。そして、そして修習開始以来、自己最高の集中力でその事件の準備書面を起案し、心地よい達成感を味わうことができた。
 しかし、依頼者の怒りや思いを共有できる事件ばかりではないことも知った。
 このように依頼者と共に怒ることができないとき、弁護士の動力源となるものは何か。私は、それはお金や知的好奇心ではないかと思っていた。しかし、もっと究極の動力源が存在した。
 国選、窃盗(ひったくり)、事実関係に争い無し、接見した被告人(二〇歳)の横柄でやる気のない態度、はっきり言って嫌いなタイプ。先生は接見後「かわいい坊やだな。」とおっしゃっていたが。
 ともあれ、私はその事件の弁論を起案した。被害回復済み、前科なし、両親監督誓約等々、定石に従って、自分なりに一生懸命起案した。しかし、先生は私の起案を利用されなかった。私は不本意に感じたが、先生の起案を見て、それも当然のことと納得した。
 そのごく一部を引用させていただく。「(前略)被告人の今回の犯行は、少年時の短絡的な犯行態様という色彩が強く、被告人においてまだ成人となりきらない部分が発現したものと考えられる。これは、被告人が社会人としての自覚を持つことにより抑制される…過性のものと考えられる(後略)」文章全体から、事件の本質と被告人の人間性への深い洞察が感じられた。私の起案との差は歴然としていた。能力や経験の他にも何か根本的なものが自分に足りない気がした。
 そんなある日、先生がふとつぶやいた。「(この仕事は)人間が好きじゃないとできないね。」それを聞いて私は、「自分に足りないと感じたのは、これだ。」と思った。同時に、「これこそが弁護士の究極の動力源かもしれない。」とも思った。
 人間を好きであること。そこから人間とその行動を見つめ、それらの本質を把握し、人間とその行動を裁こうとする人間を説得し得る表現を生み出す力が生まれるのではないか。
 自分は人間をどれほど好きか、どれだけ好きになれるか。この点も自分が底力のある弁護士になれるか否かを左右する大きな要素であると感じる。
(指導担当 渡邊利之会員)

横浜法曹スキー同好会 ニセコへ行く
 横浜法曹スキー同好会の今年のツアーは、二月二八日から三月三日まで北海道ニセコアンヌプリスキー場であった。本来、今年は海外へスキーに行く年であったが、昨年九月のニューヨーク世界貿易センタービル爆破事件のため海外旅行は危ないのではないかとの声があり、希望者の多かった北海道と決まった。
 羽田空港に午前五時五〇分集合という健康的なスケジュールのため、初日は睡魔との戦いとなった。
 今年の北海道は暖冬による雪不足でニセコも例外ではなく、二日目までは固く凍ったアイスバーンに苦しめられた。その代わり好天に恵まれ、美しい羊蹄山の姿を目に焼き付けることができた。
 横山秀雄会員は、今回のスキーのためにカービングスキーという新兵器を準備しており、それを利用してゲレンデを駆けめぐっていた。その威力に驚いたのが大木章八団長で、急遽、古いスキーを捨ててカービングスキーをレンタルし新しい道具に挑戦していた。
 三日目は吹雪となり、滑るよりもレストハウスに居る時間の方が長い会員もいたようであるが、途中参加の須山園子会員らは宴会後もナイターを楽しんでいた。
 四日目は前の晩に降り続いた雪がゲレンデを覆い、朝一番のゴンドラで上がった川島清嘉、左部明宏、高島誠会員らだけが新雪にシュプールを描くことができた。
 今回は、数年前よりも格段に安い費用でスキーツアーに参加することができ、デフレ経済を実感した。欠席となった常連者もいたので寂しい面もあったが、来年はイタリアでのスキーを予定しており、皆さんの幅広い参加をお待ちしています。
(安田英二郎)

三庁囲碁大会
 恒例の三庁対抗囲碁大会が、二月一六日、総勢四六名の参加を得て横浜弁護士会館五階で行なわれた。年々参加者が減少するなかで、今大会は三名で一チームとし、また、個人戦(一〇名参加)を設けるという初めての試みを採用した。弁護士会・裁判所・検察庁ともA、B各クラスそれぞれ二チームずつを送り出し、熱戦を繰り広げた。
 Aクラスでは、元横浜地検交通部部長であった佐々木英雄氏(現在は弁護士)という強力な助っ人を擁した検察A1チーム(主将斎藤良雄氏、三将鈴木一郎氏)が、最終直接決戦で弁護士会A1チーム(柴野眞也会員、木村和夫会員、宮下浩司会員)を二勝一敗で破り、全勝優勝を果たした。準優勝は裁判所A2チームであった。
 Bクラスでは、弁護士会B1チーム(加藤満生会員、瀬沼忠夫会員、野澤明会員)が検察庁B1チーム(鈴木福壽氏、夏苅宗春氏、佐藤吉輝氏)との最終直接対決に敗れ、惜しくも優勝を逃した。
 なお、個人戦では裁判所の大西孝氏が三戦全勝で優勝し、検察庁の完全制覇を阻んだ。
(柴野眞也会員)

訂正とお詫び
 三月号三面「常議員会ニュース」中の「勧告の執行」の記事の−当会人権擁護委員会石黒仁委員長の談−とありますが、−当会人権擁護委員会石黒康仁委員長の談−の誤りでした、訂正とお詫びいたします。

弁護士費用を負担できない方に弁護士費用の立て替えをします
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  受付/10:00am〜4:00pm(月〜金)昼12:00〜1:00は除く
なお、法律事務所での無料法律相談も行っています。詳しくは本部までお問い合わせ下さい。

いろいろな相談にお応えします。
横浜弁護士会総合法律相談センター
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相談料金5,000円(30分)
(042)776-5200
相模原中央3丁目12番3号(商工会館3F)
★多重債務相談センター★
(045)211−7700
・相談時間/ 9:45〜11:45
・相談料金/ 5,000円(30分以内)
※消費税別途

編集後記
 四月といえば新人の季節、人事異動の季節でしたが、法曹界では、研修所を終了した新人が弁護士になるのは秋になりました。ということは、任官、任検も秋になり、裁判官や検察官全体の人事異動も秋が増えていくのでしょうか。今年は桜も咲き終わり、季節感の乏しい四月です。
デスク 安田英二郎   一面担当 伴  広樹   二、四面担当 市川 統子
      三面担当 岩田 武司   やまゆり 浜田  薫

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