九月三日午後三時より、当会会館五階大会議室において、(1)会員の非違行為の事前公表について、(2)支部会規について、(3)総会での代理権行使実施要領について、(4)弁護士法律相談等日程割振の合理化についてをテーマとする会員集会が開催され、特に事前公表制につき活発な議論がされた。 |
制度の概要 |
会員の非違行為の公表につき現行制度は、綱紀委員会が会員たる弁護士を懲戒することを相当とする議決をし、かつその後懲戒委員会により懲戒すべき旨の議決がなされた後に、公表するものとされてきた。 |
これに対し、今回議論された「会員が懲戒手続に付されたことの公表に関する会規(案)」(以下「会規(案)」という)では、綱紀委員会が懲戒を相当とする議決をした場合、更には綱紀委員会による調査手続中の場合においても、一定の要件の下に、綱紀委員会に調査の請求があったこと及びその理由の趣旨等を公表できる、とするものである。 |
公表の要件 |
古川副会長より、詳細な趣旨説明がなされた後、活発な議論がなされた。特に新会規(案)第二条(公表の要件)に、議論が集中した。 |
特に第一号につき、(1)被害拡大のおそれが明白な場合である第二号以外に第一号を独立して規定する必要があるのか |
回答ー被害拡大のおそれが明白とは言えないが潜在的に被害拡大の可能性がある場合には第一号しか適用できない、 |
(2)単発的な非行であれば綱紀・懲戒委員会で早急に結論を出すべきとするのが本筋であり、事前公表は謙抑的になされるべきではないか |
回答ー単発的な非行か否かの判断が困難なケースもある。綱紀・懲戒委員会の早期議決については別途検討等の議論がなされた。 |
次に第二項については、 |
(1)公正さの担保はいかに図るか |
回答ー第二項例示の場合は、当会執行部が非行の事実がまず間違いないとの心証を得た場合である。また第三条において当該会員に対して意見陳述の機会が与えられている。 |
(2)第三条では逮捕の場合には当該会員の意見を聞かなくても公表し得るが、具体的に非行の認定はどのようになされるか |
回答ー同様の苦情申立の有無や逮捕事実を認めたとの報道による等の議論がなされた。 |
また、公表の対象となる非違行為は、非弁提携や横領等、弁護士ならではの行為に限定されるのか、との質問もあったが、新会規上も明らかなとおりかような限定はなく、性犯罪その他の行為であっても公表の対象となる、とのことであった。 |
なお、他会の状況としては、東京第二弁護士会では非違行為の範囲を非弁提携の場合に限定しているが、大阪弁護士会は当会と同様、かような限定は付されていない。
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公表の方法 |
公表の方法は「文書、口頭その他適当な方法で行う」(第八条)とあるが、具体的には何を考えているか、との質問があり、回答は、まず会員全員に対してファックスを送付し、次に記者会見、その後当会新聞への掲載、とのことであった。 |
また事前公表の方法としては、当会ホームページへの掲載は考えていない。 |
臨時総会へ上程 |
新会規は、一〇月四日の臨時総会に上程される。 |
なお、日弁連モデル案では、新会規規定事項の他に、会員の会に対する協力義務についての定めがあったが、この点については、一〇月四日の臨時総会では提案を見送る。その理由は、懲戒事案の多角的分析が必要であること、及び会員に対して義務を課す以上会規ではなく、会則等の改正を要するため。古川副会長の説明によれば、本年中に準備を終え、来年三月までには臨時総会で提案したいとのこと。 |
支部会規の新設 |
総合改革委員会からの会則一部改正及び支部会規制定等の提言につき、同委員会支部部会の箕山部会長より、説明があった。本テーマについては既に各支部と同部会との間に充分な議論が尽くされた上での提言であったことから、会員集会においては特に議論はなされなかった。 |
総会での代理権行使 |
特に代理人選任届の提出期限の厳守につき、理事者より注意があった。 |
提出期限は会日の前日正午までで、特に郵送による提出の場合は、当会に郵便物が配達されるのが午後になる(即ち締切日の前日=会日の前々日にポストに入れたのでは期限までに到着しない)ので留意された。 |
法律相談など日程合理化 |
高岡副会長より、当会事務局の負担軽減のため、法律相談センター、行政・各種団体法律相談、国選弁護、当番弁護士等の日程割振りを統合化する旨説明があった。具体的には、翌年度のアンケートを一〇月に一括して行い、日程の通知も一括して発送、かつ日程割振通知後の交代者探しは担当者本人が行い、その代わり担当者探しの補助として協力弁護士(仮称)を募集する。特に法律相談については月に何度も割り振られることがあり、交代者探しを本人が行うことは困難である旨の意見も出されたが、理事者としては、事務局の負担軽減の趣旨から理解を求めた。 |
会規(案) |
第二条(公表の要件) |
1. 会長は、本会の会員に対して綱紀委員会(日本弁護士連合会の外国法事務弁護士綱紀委員会を含む。以下同じ。)が懲戒を相当とする議決をした場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、第五条に定める事項を公表することができる。 |
一、 |
当該会員の非行と目される行為が重大であるため、公表しないことにより弁護士等及び本会に対する国民の信頼が損なわれるおそれが明白で、かつ、緊急の必要性があるとき |
二、 |
当該会員の非行と目される行為による被害が拡大するおそれが明白で、かつ、緊急の必要性があるとき。 |
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2. 会長は、綱紀委員会の議決がなされる前であっても、当該会員に対する綱紀委員会の調査手続が開始されている場合において、本会が懲戒の事由があると思料してその調査を求めたものであること、当該会員に対する苦情等の申立が本会に繰り返されていること、当該会員が逮捕されたことその他の事情により当該会員の非行の存在を認めるに足りる相当な理由があり、かつ、前項各号のいずれかに該当するときは、第五条に定める事項を公表することができる。 |
第四条(常議員会の議決等) |
1. 会長は、第二条の公表をしようとするときは、常議員会の議を経なればならない。 |
2. 前項の規定にかかわらず、当該弁護士である会員、当該弁護士法人会員の社員若しくは使用人である弁護士又は当該外国特別会員が逮捕される等により特段の緊急性がある場合には、会長は、常議員会の議を経ないで公表することができる。この場合において、会長は、公表後最初に開催される常議員会に公表の内容及び理由を報告しなければならない。 |