横浜弁護士会新聞

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2001年9月号(4)

 
 中山二基子弁護士(東京弁護士会所属)を講師として、「成年後見における後見人の実務」研修会が七月二三日午後三時から開催された。申込者多数のため、会場が弁護士会館五階からメルパルクに変更され、猛暑の中、八三名の会員が熱心に参加した。
 研修会においては、講師自身が体験したという典型的ケースを題材に、時系列に沿って、受任の際の制度の選択(法定後見、任意後見、任意の財産管理契約等)から審判前の保全処分の活用、成年後見人の報酬請求の時期(月毎に請求するか、一年毎にまとめて請求するか)に至るまで、極めて具体的かつ詳細な説明がされた。
 また、気になる鑑定費用は一〇万円から一五万円位とのことであった。
 余りに盛り沢山な内容であったため私自身はやや消化不良な面があった。一線において積極的に成年後見実務に携わっている弁護士の熱意と迫力にじかに接することができ、身の引き締まる思いがした有意義な研修であった。
 なお、成年後見制度はスタートして約一年四か月足らずであり、同制度の定着のためにはまだまだ弁護士が果たすべき役割が大きいとのことであり、各会員の積極的活用が期待されるところである。

 七月二七日、横浜弁護士会館において、四月一日より施行された改正少年法に関する研修会が開催された。今回の改正が付添人活動に大きな影響を与えるものであることもあり、四九名の会員の参加の下、外の暑さに負けないくらいの熱気ムンムンの中、盛大に行われた。
 初めに、講師の第二東京弁護士会所属の城戸浩正弁護士から、「改正少年法の運用と付添人の役割」と題する解説講義が行われ、改正少年法の概略の説明がなされた。今回の改正のポイントは、(1)加害少年・保護者の責任強化(逆送要件の変更等)、(2)事実認定手続きの適正化(検察官の関与等)、(3)被害者に対する配慮(意見の聴取等)とのことであった。今回の改正により付添人の役割は増大したわけだが、講師からは、改正少年法の運用に当たっては、少年法のそもそもの理念である「保護主義」に合致した運用にすべきである、付添人もこの点を意識して活動すべきである、との指摘がなされた。
 続いて、当会の小宮玲子会員から、同人が受任した原則逆送事案(三軒茶屋駅ホームの傷害致死事件)についての紹介があり、最後に、少年問題委員会から、今回の少年法改正に伴い、これまで当会会員に重宝されてきた「付添人ハンドブック」の改訂版が今年の秋に完成する、との報告があった。参加者全員が、本研修を機に、「改訂版」を片手に、熱意を持って少年事件へ取り込もうと決意したに違いない。

福祉オンブズマンをして  障害者から元気をもらいながら活動
 現在、知的障害者施設のオンブズマンをしています。施設オンブズマンは、施設利用者の権利擁護を目的として、定期的に施設を訪問し、利用者と直接面接して、彼らの苦情・要望を聞き、施設に対して提言や是正勧告をする活動です。
 施設オンブズマンをしていてうれしく思うのは、私が施設を訪問すると、彼らが温かく迎えてくれることです。言語的なコミュニケーションを取ることが苦手な方も、私を受け入れ、彼らなりの方法で、私とコミュニケーションをとろうとしてくれます。彼らとの出会いは、私に元気を与えてくれます。
 しかし、彼らの話を聴いていると、彼らが抱えている根深い問題に触れ、悩んでしまうこともあります。
 特に難しいのは、彼らが社会の中へ出て自立をしたいという希望を持っているのに、家族や施設がなかなかそれを認めないという問題です。まだ彼は自立するだけの能力を備えていないとか、彼が社会に出ると様々な問題を引き起こすおそれがあるなどの理由が挙げられます。たしかに、家族や施設の言い分にはもっともな部分もあり、私自身、利用者の希望を実現することは難しいのではないかと思うこともあります。
 しかし、この難しさの本当の原因は、利用者本人の側にあるのではなく、社会の側にあるのではないでしょうか。いまだに、障害者を差別し、排除する社会意識が根強くあります。
 また、障害者の生活を支援する制度も不十分です。これら社会の側が抱えている問題を乗り越えなければ、障害者はいつまでも、施設の中で、「保護」という名の「隔離」をし続けられることになるでしょう。
 私には夢があります。
 それは、障害のある人も障害のない人も、すべての人が活き活きと地域の中で生活できる社会を実現することです。
 障害者の皆さんから元気をもらいながら、彼らと共に、夢の実現に向かって歩んで参りたいと思います。

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編集後記
 いよいよ待ちに待った横浜地裁新庁舎が完成し、業務もスタートした。庁舎建替については当会も大きな関心を寄せ、裁判所に対し詳細な要望を提出していたところである。その要望を一〇〇%受け入れたものとはいえないとしても、和解室の大幅増加やバリアフリー化等工夫が随所に見受けられ全体的には評価できるものと思われる。新たな器による、より一層の良質な司法サービスの提供に期待したい。  
デスク 沢藤 達夫   一面担当 小川 佳子   二面担当 渡辺  譲
      三面担当 佐賀 悦子   四面担当 二川 裕之
              上山 智之

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