横浜弁護士会新聞

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2001年10月号(4)

 
新人弁護士奮闘記 第52期 榎本ゆき乃会員
いろんな顔と出会って
 昨年四月に弁護士登録をし、早いもので一年五か月が経ちました。横浜綜合法律事務所で、仕事面は勿論仕事以外の面でも諸先輩方に大変お世話になりつつ、充実した毎日を送っています。
 この一年五か月を思い返してみると、依頼者、被告人、少年の様々な顔が浮かびます。不安げな顔。強がっている顔。憤慨している顔。落胆している顔。すがりつくような顔。やるせない顔。満足げな顔。さばさばした顔。そして、しゃくりあげて泣いていたあの少年の顔。顔の変化を目の当たりにすると、顔はそのときのその人の状況や気持ちを反映するものだと痛感します。
 ところで、私の弁護士としての初体験を思い出してみると…。初めての法廷では、某裁判官に「遺産分割協議書もないのに分割協議をしたと言うんですか。ふーん。普通はつくるんじゃないの」と言われてあたふたし、初めての証拠調べでは、質問のしかたを考えていて次の質問までしばらく間が空いてしまい、取り寄せた尋問調書に「原告代理人…」となっていないか思わず確かめてみたということもありました。
 初めての示談交渉もなかなか印象深いものでした。ある窃盗事件で、事務所の澤田久代弁護士と共に被害者(二〇歳前半の女性)に会いに行ったときのことです。被害者の彼氏なる人物が代理人と称して登場し「だいたいおめーらみたいな若い弁護士がついてること自体が気にいらねーんだよ」「おめーらなんかどうにでもできんだぞ」と澤田弁護士の目の前二〇センチくらいのところで下から上へと睨み上げて多額の示談金をふっかけてきたあの顔、それに絶句していた私の横で一ミリもたじろぐことなく二〇センチ先の鼻息荒い彼に平然と対処していた澤田弁護士の顔は忘れられません(このときほど澤田弁護士を頼もしいと思ったことはありません)。
 その後、大船のとある居酒屋で澤田弁護士と終電後まで語り合い(?)ましたが、このときの経験は私の後の示談交渉等に大変役立っています。また、この事件は私が検察官とけんか(?)した初めての事件でもありました。このときには、自分自身こんなに熱くなることもあるんだと新たな自分を発見したりもしました。
 これら初体験の時の私がどんな顔をしていたのか私には分かりませんが、果たして私の顔は一年五か月前の顔からどのように変わったのでしょうか…そして、今後どんな顔になるのでしょうか……。

私の修習日記 第55期修習生
誠実であるということ
第55期修習生 藤井 豪
 弁護士は誠実でなければならない、このような言葉を指導担当弁護士から聞いたことはない。むしろ、「私は遊ぶために働く」、こう言って憚らない方である。修習生としては、このような遊び心に安堵を感じるものである。しかしながら、指導担当と行動を共にするとき、そこには常に緊張がある。未だに指導担当が手を抜いていると感じたことはない。
 「負け筋の事件で勝ってはいけない」、そう電車の中ではにかむ弁護士には確固たる自身の倫理観があった。「それよりもまず、貴方が何を最優先に望むのか、お話し下さい」、そう依頼者に問いかける横顔には職業法律家としての経験に裏付けられた自信があった。「私に質問する際には、まず自分の考え・疑問を示しなさい」、と諭す厳しい目の奥には教育者としての一面が読みとれた。
 仕事に対し、依頼者に対し、そして自分に対し誠実であること。指導担当の仕事ぶりからはこれが滲み出ている。前期修習の最後に教官がしきりに繰り返していた弁護士倫理のすべてがここにあるような気がするのである。
 そのことを意識し始めて、幾つか変わったことがある。依頼者から話を伺う際、私からも質問できるようになったのである。さらに依頼者が修習生の私にも顔を向けて喋ってくれるようになったのである。私が真剣に話を聞き、そのことを依頼者が感じ取ったからであろうか。果たして私は誠実にその場に臨めたのであろうか。
 誠実であること。どこまでも汚れなく、道は果てしなく険しい。そのような法曹への憧れが強まること際限なく、自らもそうありたいと希う。
 果物の王様を食べさせられ、ギタースタンドを運び、懲役二時間コースで歓迎会をしていただいたとしても、依然、その願いに変わりはない。
(指導担当 山本英勝会員)

関越野球大会 横浜マリナーズ準優勝!強豪新潟を破る
 八月四日、群馬県の伊香保で、横浜、東京、埼玉、群馬、新潟の各弁護士会チームが参加して関越野球大会が行われた。 試合はトーナメント方式で行われ、横浜マリナーズはチーム一丸となって準優勝を果たした。
1回戦 対群馬 14対1
 群馬 000 10 1
 横浜 811 13 14
西村投手あわやノーヒットノーラン!安達スリーラン
 第一試合の群馬戦は、西村−遠矢のバッテリーで挑んだ。好調西村は、群馬打線に四回二アウトまでヒットを1本も許さぬ好投。エラーのランナーをこの日唯一のヒットで返され、ノーヒットノーランこそ逃したものの、見事一安打完投。
 横浜は、打っても打線が爆発。四番岡部の先制タイムリー、島崎の二点タイムリー、安達のスリーランホームランなどで、初回に一気に八点を挙げ、試合を決め、初戦を難なく突破した。
2回戦 対新潟 12対0
 新潟 000 00 0
 横浜 420 06 12
畑中投手、新潟を完封!
 新潟は、全国大会常連の強豪である。
 瀬古監督は、エース畑中をぶつけた。なにせここで負けてしまっては決勝で東京と当たることすらできないからだ。
 打線好調の横浜は、この試合も初回から岡部の先制タイムリーに、阿部、島崎、河合が続き、四点を挙げた。畑中は、ベンチの期待に応え、しぶとい新潟打線を完封。
 横浜は12対0で快勝し、その実力を見せつけた。
決勝戦 対東京 6対16
 東京 814 30 16
 横浜 400 02 6
炎天下の連戦に力尽きる
 宿敵東京との決勝戦。
 しかし、炎天下で既に三試合目の横浜に対し、東京は二試合目。エース畑中の連投を避けた横浜は、初回から大量点を許し、安達の二点タイムリーツーベースなどで追い上げたものの、序盤の失点が大きく、畑中を投入する機会のないまま敗れた。
 なお、今大会のチームの殊勲選手には、新潟を完封した畑中投手が選ばれた。
 マリナーズは、法大野球部出身のコーチを招いて特訓中。東京に勝つ日も近い…。
(捕手 喜多英博)


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編集後記
 MM21のインターコンチネンタルホテルに巨大バッタがひっかかっているそうです。作者によると、既成の概念を破るような新しい発想を願ってのこととか。
 本編集班にも今号より若い喜多委員が入り、斬新な発想で紙面作成ができたらと思っています。
デスク 栗田 誠之   一面担当 阿部 雅彦   二面担当 小沢 弘子
      三面担当 浦田 修志   四面担当 喜多 英博

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