横浜弁護士会新聞

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2000年12月号(2)

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 横浜地方裁判所第三民事部に、弁護士任官者として本年六月より長尾美夏子判事が配属された。そこで、弁護士任官までの経緯や任官後の経験につき、お話をうかがった。
一一年間の弁護士生活を経て
-経歴をお聞かせ下さい。
 司法修習は四一期で、修習終了後は第二東京弁護士会に登録しました。昨年末から弁護士任官を考えはじめ、今年六月七日付で任官しました。
-当初弁護士を志望した理由は?
 修習時代に任官希望もありましたが、入りたかった事務所に就職できたので弁護士になりました。任官希望者は優秀な人ばかりで自分には無理という気持ちもありました。
-弁護士時代どのようなお仕事をなさっていましたか?
 弁護士一〇人程度の事務所で、渉外案件もありましたがおもに国内の一般民事事件や企業法務が大半でした。
-任官を志した動機は?
 弁護士として裁判所に通ううちに、裁判官の仕事もいいなという気持ちが湧いてきました。地方の裁判所で腰を据えて仕事に打ち込んでみたいという気持ちもありました。
 昨年暮れころ仕事が少し落ち着いてきたので、任官するなら今かな、と思いました。
-任官までの手続は?
 所属弁護士会に相談して、会の担当者より最高裁判所に連絡してもらい、今年三月ころに最高裁判所で面接、五月に健康診断を受け、内定をいただきました。
-現在ご担当の事件は?
 不動産執行や破産、民事再生、借地非訟等を担当しています。当事者本人と接する機会も多く、楽しく仕事をしています。特に担当したい分野の希望は出しませんでした。
裁判官も一人一人を大切に
-裁判官としての生活は?
 弁護士時代は午後一〇時まで働いていたのが、午後五時には切り上げられるようになりました。横浜地裁、特に中央庁舎にある第三民事部は親しみやすく居心地もいいですし、職員にもよく受け入れていただいていると思います。
-任官して思うところは?
 まず、弁護士は依頼者のすぐ側で話を聞く仕事であり、重みのある仕事だと再認識しています。裁判官も弁護士同様当事者一人一人を大切にしなければならないと思います。
-経済面で変わったことは?
 給与は同期裁判官と同じですし、弁護士時代と比べても定期的に収入があり経費出費の心配がないので、生活はさほど変わらないという感覚です。
任官希望のある方は
-最後に、これから弁護士任官を志す人たちへ一言。
 任官の条件は、五年以上裁判官として勤務できることと健康であることです。あとは、依頼者や事務所に迷惑をかけないタイミングを考えればいいのではないかと思います。私自身、後で後悔したくないので任官をしました。任官の気持ちのある方には、是非お勧めします。
-ありがとうございました。
(インタビュー 船橋俊司) 


 法律扶助事業に国費が支出される「民事法律扶助法」の施行を記念するシンポジウムが、一〇月二日、(財)法律扶助協会神奈川県支部の主催により開催された。
 亀井時子扶助協会本部運営委員による新法の概要紹介、山本安志同協会神奈川県支部運営委員からの県支部活動状況報告、池葉喜代子婦人相談員及び岡本充代当会少年問題委員からの児童虐待の深刻な現状についての報告の後、扶助協会支部の自主事業として全国で初めて埼玉県支部で新設された「子どもへの虐待救済援助制度」について、同支部運営委員である海老原夕美弁護士より紹介された。
 虐待されている子どもの救済のためには親権喪失宣告請求申立や親権者変更申立が効果的であるが、子ども自身にはこれらの申立権が認められていない。そこで、弁護士がこれらの申立人になってくれる親族を探して申立てをすることになるが、折角申立人になる親族を見つけても、弁護士費用まで出してもらうとなると難しくなる。そこで、申立人=扶助申込者が親族であっても子ども自身の資力を扶助審査基準とし、かつ費用を交付制にするというのがこの制度の特徴である。
 佐藤昌樹扶助協会本部調査室嘱託からこの制度の導入の問題点として対象事件の範囲確定や予算、担当弁護士の確保等があげられ、最後に村瀬統一扶助協会神奈川県支部長より、法の施行を機会に同支部もこの制度の導入を積極的に検討すると締めくくった。
 深刻な児童虐待について連日報道されるなか、是非とも、法律扶助制度を利用して被虐待児童救済に資する制度について早急に設けられることを期待したい。


 一〇月三日、弁護士会館五階大会議室において、公認会計士小島昇氏を講師に招き、「会社再建可能性のポイント」と題して講演が行われた。本年五月に設立された横浜弁護士会倒産法研究会主催による第二回公開講演会である。
 講師の小島氏は、最近のものでは日本ランディック、第一ホテルエンタープライズの清算手続も手がけておられ、極めて実務的・実践的な話を聞くことができた。
 講演では、破綻原因の分析手法と、再建計画の合理性判断のポイントについて、多岐にわたる説明があった。
 破綻原因の正確な分析には、粉飾決算を見抜くことが必要となる。小島氏は、民事再生申立から開始決定までの半月(東京地裁の場合)程度の期間で、再建可能性を探るという困難な作業をされているだけに、過去五年程度の財務諸表を比較することによって粉飾決算の有無は大体わかる、とのこと。初期段階の「押し込み売上」から、末期段階の「過去の粉飾を特別損で計上する」といったやり方まで、様々な粉飾決算の手法とその見極め方について興味深い話が続いた。
 会場には当会会員だけでなく地裁裁判官の姿もみられたが、参加者は、日頃聞く機会の少ない会計分野の専門家の話に、熱心に聞き入っていた。
 なお、倒産法研究会では、来年には、園尾隆司東京地裁裁判官を講師に招き、民事再生法をテーマとして第三回公開講演会を予定しているとのことである。
(小沢 弘子) 


一〇月一二日 第四回成年後見−連続研修会
 法相センター運営委員会・人権擁護委員会主催で成年後見に関する連続研修会の第四回が開催され、高齢者及び障害者について会員が扱った事例の報告・検討がなされた。今後当会も成年後見人候補者名簿の作成に着手する。
一〇月二〇日 法律扶助協会研修会
 民事法律扶助法施行に併せ導入される相談登録弁護士制度についての研修会が開催された。民事法律扶助へのアクセスを容易にしてその利用を促進するために、登録弁護士の事務所で法律相談が出来るようにするというのが制度の概要である。法律扶助制度のさらなる充実のために是非とも積極的に登録を、とのことであった。
一〇月二三日 働く人の権利相談研修会
 一一月より「働く人の法律相談」窓口がスタートしたのに併せて、人権擁護委員会・同担当部会の主催で、労災保険と雇用保険の実務及び労働委員会の概要について、同実務に詳しい堤浩一郎・地労委公益委員の関一郎両会員より講演があった。

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