横浜弁護士会新聞

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2000年10月号(2)

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横浜弁護士会神奈川住宅紛争審査会 副委員長 星野 秀紀 
 本年四月に施行された住宅品質確保法に基づき、この九月には、建設大臣により横浜弁護士会が住宅紛争処理機関として指定され、神奈川住宅紛争審査会が発足した。
 審査会は、弁護士会館内ではなくKRCビル四階(中区日本大通り十八)におかれ、紛争処理の業務が行われる。
 具体的紛争処理に当たる紛争処理委員も、当会会員たる弁護士のほか、建築士、消費者相談員から選任され、研修も終了している。
 さあ、いつでもいらっしゃい、の状態である。
 ご存じのようにこの紛争処理機関は、住宅性能評価機関によって建設住宅性能評価書が交付された住宅の、建設工事の請負契約または売買契約に関する紛争について処理する機関である。しかもその前提である住宅性能表示基準がやっと本年七月に告示されたばかりで、かつ、肝心の住宅性能評価機関も本年九月中旬に立ち上がるという。
 従って、本年九月以降の請負契約(ないし新築住宅の売買契約)が対象になり、その住宅について住宅性能評価が行われ、完成し、トラブルが発生してからの紛争処理機関の出番となるから、早くても来年以降からの仕事になるのではなかろうか。
 近年欠陥住宅問題が大きくクローズアップされている。欠陥住宅紛争は、一生に一度ともいうべき高額の買物でかつ日常の生活をする場所での紛争であるだけに、単なる経済紛争にとどまらない深刻な被害実態となっている。他方この紛争は、弁護士にとっても苦手な分野であるだけでなく、司法全体としても迅速かつ有効な解決が図られてこなかった分野である。
 この分野に、迅速かつ適正な解決を図るべくADR(ALTERNATIVE DISPUTE RESOLUTION)として新たな住宅紛争審査会が発足し、しかもそれに、建設業界団体ではなくて弁護士会が指定された意義は大きい。
 この審査会が欠陥住宅被害救済機関であるという基本姿勢を念頭におき、迅速かつ有効な救済を実現していかねばならない。
 具体的紛争処理は来年としても、こういう制度ができているということは、会員はもとより住宅取得者、消費者に広く宣伝されねばならない。まずこの住宅性能評価制度を利用してもらうことから始まる。一〇万円から二〇万円と想定されている評価料は、安心料と考えれば必ずしも高いものではない。
 是非、神奈川住宅紛争審査会事務所にお立ち寄りください。そして制度の宣伝、利用をお願いします。
 見学いつでもOK。大歓迎。


機構改革推進本部・支部部会長  箕山 洋二 
 機構改革推進本部は、本年度支部部会を設置し、支部の位置付けを含め、支部会規等の制定に向け、現在作業を急ピッチで進めている。八月中旬段階では、会規等のたたき台が作られ、具体的検討がされている。
 たたき台作成までは、収集された全国の各単位会の支部に関する規程の検討がなされ、続いて本会各支部の実情・希望等についての意見交換がなされ、具体的検討が行われた。
 支部会規等の制定が早急になされなければならない理由のひとつに、小田原支部の地裁庁舎建替問題がある。その経過については、新聞八月号の「支部だより」に掲載されているので、ぜひご一読いただきたい。
 小田原支部庁舎建替は、平成一三年六月頃開始を予定しているようであるが、現在地での建替期間中の執務のためには、仮庁舎建設ということになる。仮庁舎内にも弁護士控室が設置されるようであるが、従前使用していた備品類の搬入や事務職員の常駐執務について、難しい問題が生じている。これらの問題は、仮庁舎のみについてではなく、建替後の新庁舎についても指摘されているところであり、今後の裁判所との協議は極めて重要である。事態の推移によっては、どこかに建物を賃借して支部の弁護士会活動を行うというようなケースを想定しておく必要もあるかもしれない。しかし、かかるケースにおいても、支部会規等の制定がない限り、本部会計として支出根拠を持たないため、賃料等の支出は出来ないことになる。
 また、この議論とは別に支部とはどうあるべきかの議論の中で指摘されたのは、弁護士会の業務の中で重要業務とされる県民サービスと会員サービスの業務について、可能な限り全県民・全弁護士が平等に受けられるものでなければならないということである。この点、当然本部と支部とは同等であるべきであり、そのためにはどうするべきか、との議論が活発になされた。
 いずれにしても、支部の運営を支部会員のみの負担(なお、職員費については、すでに本部負担となっている)に依存することは正しい運営とは言えない。会の財政が逼迫していることを理由に、支部問題から目を背けることは許されない状況にある。将来の会運営を見据え、弁護士会として充実した業務を計る必要上、支部問題を今こそ解決するときである。このような方向性が確定したので、支部の組織、運営、費用等について原則を定めるため、前記のたたき台が作られるに至ったものである。
 この会規等の細部については異論のあることも予想されている。また、四支部それぞれ歴史や実情も異なっていることは充分承知しているつもりである。さらに正式な支部以外に各支部が懇親等のための任意団体を構成することを妨げるものでもない。
 弁護士会の支部業務の重要性を充分に認識すればこそ、「先ず始めませんか」と提案している次第である。皆様のご支援を心よりお願いするところである。


 日頃は調整役に徹することの多い永井会長だが、こと会名変更問題に関しては積極的な発言が目立つ。そこで早速、真意を探るべく、インタビューを試みた。
−九月六日の会員集会でなされた議論についてどのような感想をお持ちですか。
 率直な意見交換ができたことは大変有意義だったと思います。執行部の司法改革への取組みについて一部誤解されていた点もあるようですが、それも理解していただけたのではないでしょうか。
−会名変更問題の今後の進め方、日程についてはどのようにお考えですか。
 会内情勢をみながら進めたいと考えています。無理押しをするつもりはありませんが、会員の多くの賛同が得られそうであれば、平成一三年二月に臨時総会を開催したいと考えています。
 今後、この会名変更にかかわる問題については、予想される費用の開示等含め、二〜三週間に一回くらいの割合で、情報を発信して行きたいと思います。
−会名変更に対し、会員の中には根強い反対意見も少なくありません。
 たしかに、過去のアンケートの実施や検討委員会の廃止という結果によって、会名変更問題は決着済みであるという意見もあります。しかし、会内世論は時代とともに変わってきていると思います。
 当初、この問題は、機構改革委員会において検討していただこうとしましたが、同委員会で取り上げる問題ではないと反対されました。
 このような経緯もあって、理事者主導で取り組むこととなりました。ですから、この問題の処理のために委員会を立ち上げたり、あらためてアンケートを実施するつもりはありません。
 しかし、会内に深刻な対立を招来するのは本意ではなく、反対論を封じるような考えも毛頭ありません。各会員が自由に、かつ十分に議論ができるような状況の中で進めていきたいと考えています。
−会名を変更するとした場合、会財政が苦しい中で、かなりの費用負担が予想されます。
 兵庫県弁護士会の例によれば、直接経費のみで一〇〇万円弱を要したとのことです。同弁護士会の場合には、会名変更を機に会の宣伝も兼ねたため、さらに三〇〇万円以上の費用が余分にかかったようです。
 当会でも会名を変更するとなった場合には、神奈川新聞などに取材記事を載せてもらいたいと考えています。
−会名変更問題と会規、会則上の支部の位置付けとが関連づけて議論されているようですが。
 支部会員の多くが会名変更を切実に訴えているのは事実ですが、会名の問題と支部の位置付けとは理論上は全く別の問題です。これは混同したり、誤解してはいけません。支部問題については、現在機構改革委員会で検討していますので、その動きを待ちたいと思います。
−司法改革全体の流れの中で、もっと重要で急を要する問題があるとも指摘されます。
 司法改革をどのような視点からとらえるかによって、重要度の評価が違うのかもしれません。しかし、市民のための司法改革、市民に身近な弁護士会を実現しようとする以上、他の重要問題にも対処しつつ、会名変更も行うというのが筋ではないでしょうか。

 さる9月12日、ロイヤルホールにおいて神奈川県弁護士会を実現する会の創立総会が開催され、初代会長に佐久間哲雄会員が選任された。県民に分かりやすい名と体が一致した会名変更を実現しようというものである。
 来賓に、当会永井会長の他、茨城県弁護士会の茂手木現会長、兵庫県弁護士会の小越元会長が招請され、小越元会長は豪雨のため欠席となったが、代わりに「個人的ノスタルジーで会の名称を決めるのではなく、県民にいかに単刀直入に理解されるかの観点が必要」とのメッセージが披露された。


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