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悪いことをして警察に捕まったらどうしよう

1 悪いことをしてしまったら・・・

悪いことをすると,少年事件手続が進みます。

悪いことというのは,犯罪(他人のものを盗んだ窃盗罪,他人に怪我をさせた傷害罪など)のことです。これを,法律上,犯罪少年といいます。

ただし,14歳未満の子どもの場合には,法律上,犯罪にはなりませんが,児童相談所の手続を受けます。また,一定の場合には警察から調査を受けることになります。これは,法律上,触法少年とよばれます。

また,犯罪そのものではなくても,将来犯罪や触法をするおそれがあるという場合もあります。これを,ぐ犯少年といいます。

これから,法律の手続の流れを大まかに説明しますが,大切なのは,弁護士に相談できる・弁護士に依頼できるということと,逮捕などをされてしまったとしても弁護士に頼むお金のことは気にしなくても大丈夫,ということです。

もしあなた自身が,逮捕勾留をされたり,少年鑑別所収容されてしまった場合には,当番弁護士を呼んで欲しい,と警察官や検察官,少年鑑別所の先生に頼んでください。当番弁護士の派遣には,費用はかかりません。

保護者の方も,あなたの子どもが逮捕・勾留され,少年鑑別所に収容された場合には,神奈川県弁護士会に電話をして当番弁護士派遣依頼してください。

当番弁護士は,1回しか会いに行くことはできませんが,その弁護士に,自分のための弁護士になって欲しいと依頼することができます。そして,あなたや保護者の方にお金がなくても,引き受けることができる仕組みがあります(国が行っている国選弁護人国選付添人制度・日本弁護士連合会の行っている法律援助制度)。引き受けることができれば,弁護士は,その後もあなたに会いに行きますので,あまり心配しないで,まずは当番弁護士を呼んでください。

また,逮捕や勾留をされた場合には,当番弁護士ではなく,いったん国の費用で弁護士(国選弁護人といいます)を付けて欲しい,と警察官や検察官に請求することもできます。

なお,少年鑑別所に収容されてしまうと,国の費用で弁護士を付けて欲しいと請求することはできませんが,一定の場合には,家庭裁判所がいったん国の費用で弁護士を付けます(国選付添人といいます)。家庭裁判所が国選付添人を付けない場合には,法律援助制度使って付添人を選任することができます。

なお,これら公的な制度を用いずに弁護士を依頼することもできます。このような場合(私選弁護人・私選付添人といいます)の費用は,弁護士によって異なりますので,個々の弁護士にご相談ください。

2 悪いことをしたらどうなるか・・・

(1) 犯罪少年の場合

犯罪少年の場合,警察に逮捕されることがあります。その後,原則として10日間(場合によっては最大20日間),警察署の留置場などに留め置かれ,警察から取調べなどを受けることになります(勾留といいます)。

その後,逮捕・勾留された場合はもちろん,逮捕・勾留されなくても,家庭裁判所の手続が始まります(家庭裁判所送致といいます)。成人の起訴猶予のような処分はありません。

家庭裁判所の手続が始まるとき,家庭裁判所の判断によっては,少年鑑別所に収容されることもあります。いったん帰宅が許されたものの,家庭裁判所の呼び出しに応じないなど,後に必要が生じれば,少年鑑別所に収容されることもあります。

少年鑑別所には,通常は3~4週間,収容されます。この間に,少年鑑別所の先生に調査をされます。

また,少年鑑別所に収容されてもされなくても,家庭裁判所調査官という専門家に調査をされます。

そして,少年鑑別所に収容されてもされなくても,家庭裁判所の審判によって,保護観察処分少年院送致などの保護処分がなされます。一定の条件を満たすと,大人と同じように刑事裁判を受けるように言われることがあります(検察官送致,または逆送といいます)。

(2) 触法少年の場合

触法少年の場合には,14歳未満であるので犯罪にはなりません。そのため,犯罪少年のように逮捕・勾留されることはありません。

ですが,児童相談所の手続を受けますし,一定の場合には警察から調査を受けることになります。

そして,児童相談所が必要であると判断した場合には,犯罪少年と同じように,家庭裁判所の手続に移ります。その後は,犯罪少年の場合と同じです。

(3) ぐ犯少年の場合

ぐ犯少年の場合は,年齢によって児童相談所の手続を受けるか,家庭裁判所の手続を受けるかが異なります。

14歳未満の場合には,児童相談所の手続になります。その後,児童相談所が必要だと判断すると,家庭裁判所の手続を受けます。いきなり家庭裁判所の手続を受けることはありません。

14歳以上18歳未満の場合には,児童相談所か家庭裁判所のいずれかの手続になります。児童相談所の手続になった場合でも,児童相談所が必要だと判断すると,家庭裁判所の手続を受けることになります。

18歳以上の場合には,児童相談所の手続を受けることはなく,家庭裁判所の手続を受けることになります。

そしてどの場合でも,家庭裁判所の手続が始まった後は,犯罪少年の場合と同じです。

3 少年事件で大切なことは・・・

少年事件手続は,悪いことをしたのかどうかや,悪いことをした原因はどこにあるのか,どうすれば,今後,悪いことをしないようになるか,ということを考える手続です。

そのためには,あなただけでなく,保護者の方にも一緒に考えてもらう必要があります。

また,少年事件手続では,家庭裁判所調査官による調査を受けますし,少年鑑別所に収容された場合には少年鑑別所でも調査を受けますが,この調査で,悪いことをした原因や今後悪いことをしないようにするためにどうしたらいいかなどが調べられます。

そのため,この調査の結果は,家庭裁判所に報告され,審判の大切な資料になります。

弁護士は,逮捕・勾留されてしまったり,少年鑑別所に収容されてしまった場合に,あなたに会いに行きます。保護者の方とも連絡を取って会ったり,電話でお話を伺ったりもします。そうして,悪いことをしてしまったのか,その原因は何か,どうしたら今後悪いことをしないで済むか,一緒に考えます。相談相手が増えると考えてもらって良いと思います。

そして家庭裁判所調査官や少年鑑別所の調査の結果だけでなく,弁護士としても,家庭裁判所に意見を言い,あなたや保護者と一緒に考えた内容を伝えます。弁護士の意見も,審判の大切な資料になります。家庭裁判所にとって,審判の資料が一つ増えることになります。

逮捕・勾留されたり,少年鑑別所に収容されてしまった場合には当番弁護士を呼べるということ,また,公的な制度を用いることで費用の心配なく弁護士を依頼できるということを,ぜひ覚えておいてください。

 
 
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